アメリカ発のサンドイッチチェーン「サブウェイ」が、顧客の体験を重視した店舗改革プロジェクト「フレッシュ・フォワード」を開始した。新コンセプトの店舗展開をきっかけに、顧客体験の向上に舵を切る「サブウェイ」のいまとこれからについて、日本サブウェイの角田淳社長に話を聞いた。

2018年1月に刷新されたビジュアルアイコン「チョイスマーク」。「S」の字をかたどった2つの矢印は「チョイス=選択肢」を表す。
グローバルコンセプトを適用 渋谷と那覇に新店舗が誕生
サブウェイが米国発で推進する店舗の改革プロジェクト「フレッシュ・フォワード」が日本に上陸した。導入1号店は3月18日オープンの「サブウェイ 那覇空港店」、同25日には「サブウェイ 渋谷桜丘店」が開店した。いずれも従来よりさらに「体験価値」に力点を置いた店舗だ。
「フレッシュ・フォワード」は2017年1月、米国のサブウェイ本社が顧客の意見に基づいて国内外に展開し始めた、新たな店舗コンセプト。店頭でもたらす体験価値を高めるべく、内装や食材の見え方、店内BGM、オーダー方法などを含め、抜本的なフォーマットの見直しを図った。「フレッシュ・フォワード」適用店舗は3月25日時点で、世界40カ国以上に1256店舗を展開。今後も世界で数百店規模で「フレッシュ・フォワード」店舗がオープン予定だ。
日本サブウェイの角田淳社長は、「我々が目指すのは、『お客さまの好みに合わせてサンドイッチを作り、ご提供する』という、サブウェイの根本的な価値を広めることです。しかし日本への進出から27年が経過したいまでも、『選ぶ楽しさ』は十分に伝わりきっていない。従来よりも選びやすくなった両店舗からも、発信に力を注ぎたい」と意気込む。
日本サブウェイがいま、「フレッシュ・フォワード」を導入する理由はふたつある。ひとつは顧客体験の向上だ。
「店舗で質の高い体験ができれば、お客さまの満足度も上がる。ひいては再来店につながるはずです。店舗体験に軸足を置いた『フレッシュ・フォワード』は、サブウェイの次のフェーズへのけん引役となります。お客さまからの『サブウェイを食べたいが、近隣に店舗がない』という声には、デリバリーサービスを拡充して、できるだけ広いエリアでご利用いただけるよう、対応していきます」(角田社長)
オープンから約1カ月 客層・利用数拡大に手応え
新店舗オープンから約1カ月が経過したが、「渋谷桜丘店」ではファミリー層の利用が増えていたり、新たに導入したデリバリーサービスに反響があったりと、「客層拡大の兆しは見えている」と角田社長は話す。
ファミリー層が増えたのは、店内のレイアウト変更が寄与している。従来のサブウェイ店舗は、客席は1人席か2人席を主軸としているが、「渋谷桜丘店」はグループ用の4人席を追加。
さらにスマートフォンなどの利用を加味して、Wi-Fiを設置し、一部の席には電源を設けた。これらは「渋谷桜丘店」周辺の会社員がランチ目的などで利用することを想定したレイアウトだったが、「ファミリー層が増えたのはうれしい誤算。いまさら、という見方もあるかもしれませんが、顧客体験を見直すことで、成長へと着実に結びつけていきます」(角田社長) …