顧客ロイヤリティを高め、利益に還元していくマーケティングについて、顧客分析の仕方から、セグメントに合わせた戦術の立て方まで解説した書籍『CRM2.0 心理でとらえる顧客ロイヤリティ』が宣伝会議より発売された。著者であるコモンズ波岡寛社長は、「顧客の行動だけでなく心理の側面からロイヤリティをとらえることで、CRMの新次元が見えてくる」と語る。

『CRM2.0 心理でとらえる顧客ロイヤリティ』
定価:本体1,800円+税 四六判 宣伝会議 刊
行動軸と心理軸の両軸で顧客・見込み客のロイヤリティレベルを定量化する調査・分析手法「ロイヤリティ・エンジン」を提唱する著者が、顧客の正しい理解の仕方、顧客に合わせたコミュニケーション施策、優良顧客向けプログラム、販売力の鍛え方について解説した。
優良顧客を育て、味方につける
──『CRM2.0』を出版した理由は?
人口減少に伴う市場の縮小を見据え、既存顧客と長く関係を築いて利益を上げたい。そうお考えのクライアントからCRM(顧客関係管理)の相談を数多く受けるようになりました。既存顧客を維持するにあたり、何より重要なのは顧客ロイヤリティを把握し、それに応じた施策を実施することです。
これまで日本のロイヤリティ計測手法は、RFM分析(最新購買日、購入頻度、購入金額)を中心とした「行動軸」のみで計測されることが一般的で、ブランドに対する好意を持っているか、といった「心理軸」まではとらえきれていませんでした。
購入頻度の高い顧客ならば、ブランドを愛してくれているかのように感じられますが、たまたま顧客にとって購入しやすい場所に店があっただけ、という場合は、「心理軸」を上げる施策をしておかないと、ほかに同じようなブランドが出てきた途端、目移りされてしまいます。
またネット社会の現代は、事前に購入を熟考して来店するケースも少なくありません。初来店の顧客にもかかわらず、新人の販売スタッフの接客では物足りないくらいの知識量と、ブランドに対する「好き」という気持ちが醸成されていることがあります。そうした顧客の心理を無視して接客すると、せっかくの優良顧客になりえる可能性を失うことになります。
そこで本書では、「心理軸」の正しい測り方についてもくわしく解説しました。近年、多くの企業が取り入れているNPSとの違いも含め、ブランドとの心理的なつながりをどのように計測すべきかをご紹介しています。その上で、「行動軸」と「心理軸」の両軸でどう顧客を理解していけばいいのか、という解説もしています。
また、心理的距離の遠い顧客には「心理軸」を上げるコミュニケーションを、心理的距離の近い顧客には「行動軸」を上げるコミュニケーションをすることで、優良顧客を育成する考え方について掘り下げています。優良顧客を味方につけられれば、自発的にブランドの良さを周囲に発信するアンバサダーになってもらえますし、商品を一緒に創造する、共創プロジェクトに参加してもらうことも可能です。
営業担当者が商談を進める際にも、アンケートで顧客の「心理軸」を計測しておけば、顧客の心理ロイヤリティの度合いに応じた応対ができるようになり、SFA(営業支援システム)を、より的確に実行できます。
──どのような人にこの本を読んでもらいたいですか。
「顧客管理ツールを導入しているのに、そもそも何から手をつけていいのかわからない」「分析結果をもとにどんな施策を行ったらいいのかわからない」という課題を抱えている方にとってのヒントになればと考えています。
ブランドを好きになってもらうための施策が大切だとわかっていても、売り上げにつながる施策に比べて効果が見えにくく、実施しづらいと考える読者の方もいるかもしれません。しかし、顧客ロイヤリティを高めるマーケティング活動は、顧客の生涯価値を最大化します。人は、心が動いたものにしか愛着を持ちません。「心理ロイヤリティ」という視点で、顧客を見られれば、血の通った、温かみのあるCRMが実践できるようになるでしょう。
お断り:コモンズ株式会社が持つ商標に従い、当ページのLoyaltyの記載は「ロイヤリティ」としています。

コモンズ
代表取締役社長
波岡寛氏
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