販売・接客の現場で活躍する、35歳以下のキーパーソンたちに迫る本企画。これからの時代を担う彼ら・彼女らは、いまどんな思いを抱いて仕事に向き合っているのか。今回は「ワインショップ・エノテカ吉祥寺店」の鈴木成美さん(27歳)だ。
ワイン知識に悪戦苦闘 歯がゆい思いの新人時代
ワイン市場は2009年から安定的に成長し、消費数量は10年間で約1.5倍に増加した。若者のアルコール離れが進んでいるが、赤ワインに含まれる成分「ポリフェノール」が健康維持に役立つと注目され、健康志向の消費者から日常的に飲まれるようになった。バラエティも豊かで、食べ物との組み合わせによって食生活の彩りとなる点も支持されている。
現在、ワインはスーパーやコンビニエンスストアでも購入できるようになったが、ワイン専門店で、より豊かで自由なワインの楽しみ方を普及させたいと働く「U35」がいる。ワインショップ・エノテカ吉祥寺店の鈴木成美さん(27歳)だ。
鈴木さんは大学時代にイタリアンレストランでアルバイトとして働き、ワインの奥深さに魅了された。「卒業したらワインのプロになりたい」と、新卒で入社したのがエノテカだ。最初の配属先は横浜そごう店。そして横浜元町店を経て、2018年6月からは吉祥寺店で働く。大型百貨店、商業施設、路面店まで経験している社員はベテランでも少ない。
「店舗形態によってお客さまの傾向が異なるため、接客の仕方も変えなければなりません。百貨店ならついで買いのお客さまが多く、接客時には手際の良さが求められます。一方、路面店ではワインを買うこと自体を目的にお越しになるお客さまがメイン。その目的が叶うよう、より丁寧に接客する必要があります」
しかし入社1~2年は知識の習得に必死で、思うような接客ができなかった。ソムリエの資格を持つ店員に接客されたいと考える顧客も多く、内容だけなら「私にもできるはずなのに」と歯がゆく思ったこともある。
ソムリエの資格取得には3年間の勤務経験が必要だが、ワインエキスパートの資格は1年めから取得可能。くやしさをバネに勉強し、入社2年めでワインエキスパートに。しかし今度は、覚えた知識を披露したいばかりに一方的な接客をしてしまった …