これまでの連載で、現在のAI技術をけん引している技術が、「ディープ・ラーニング」であることを説明してきた。現在、この技術を用いて実現できていることは、画像認識、音声認識、自然言語処理が中心である。これらは、いわば視覚(目)、聴覚(耳)などの人間の知覚と、その情報処理のデジタル化が始まっている段階だと言える。
この技術をうまく応用すれば、たとえば、医師の代わりにレントゲン画像から腫瘍を発見する医療診断システム、校閲者の代わりにメディアで公開する文章を自動で校閲するシステム、動画の音声を認識し、自動的に字幕を添えるシステムなど、人間の知覚が鍵となる業務をAIが担う、といったことが考えられるだろう。
さらに、AI技術の応用範囲は、こうした人間の知覚の代替を超えようとしている。当社で研究・開発を進めている、「感性を学習するAI技術」も、そのひとつだ。人間は情報を知覚し、それに対して反応(行動)する。「感性」とは、知覚した情報と反応の因果関係のことだ …
あと64%