ユニークかつ効果的なプロモーションを展開する企業のトップに、どのような視点で販促を考え、展開しているのかを聞く。

KCJ GROUP 専務執行役員 キッザニア事業本部長
能勢幸次氏
1957年東京都出身。1980年慶應義塾大学法学部卒業、三越に入社。フランス三越、米国三越を経て、2002年米国三越 代表取締役社長兼ニューヨーク三越ゼネラルマネジャーに就任。2004年三越 経営企画部開発担当プロジェクトマネジャー。2009年キッズシティージャパン(現:KCJ GROUP)入社。キッザニア東京事業部長を経て、2016年専務執行役員キッザニア事業本部長に就任し、現在に至る。
世界26施設中で東京が来場者数ナンバーワン
少子化が社会の話題となることが多い中、3歳から15歳までの子どもに対して職業体験を提供するキッザニアが、年間来場者88万1000人、リピーター率70%(いずれもキッザニア東京、2017年実績)と、子どもや保護者から、高い支持を集めている。
キッザニアは、世界20カ国・26都市で展開。スタートは1999年のメキシコシティだ。その後、2006年にモンテレーに開業した。同年、世界3番めの施設として、アーバンドックららぽーと豊洲内(東京・江東)内で営業を始めたのが「キッザニア東京」だ。
09年3月には、日本でふたつ目となる「キッザニア甲子園」(兵庫・西宮)がオープンし、年間76万5000人あまりの来場者を集めている(2017年実績)。世界のキッザニア全体で、来場者数トップは「キッザニア東京」、次いで「キッザニア甲子園」だ。
キッザニアの施設内では、現実社会の街並みを約3分の2のサイズで再現しており、企業がスポンサーとなったパビリオンが立ち並ぶ。スポンサー企業の数は、「キッザニア東京」で58社を数える。これは、世界各都市のキッザニアの中で、最も多い。
子どもたちは各パビリオンで、医師や消防士、バスガイド、新聞記者などの職業体験や、自動車の運転、スポーツクラブで汗を流すといった参加型アクティビティを、大人の役になりきって体験する。
仕事を体験すると、キッザニア内で流通している通貨「キッゾ」で報酬を受け取ることができる。受け取った「キッゾ」は、キッザニア内でお客さま役として体験をしたり、買い物をしたりするときに使えるほか、キッザニア内の銀行に預け、ATMで引き出すことも可能。預金した「キッゾ」は、次回来場したときにまた使えるだけでなく、日本国内だけでなく、世界中のキッザニアで使える。
「日本のキッザニアは、メキシコでの運営システムをベースとしつつ、日本の子どもたちを取り巻く環境を反映させ、スポンサーと一緒に、体験プログラムのシナリオやストーリーを設計しています。プログラムは、お互いを知らない子ども同士で2人~10人ほどが一緒になって体験します。チームワークやコミュニケーションを大切にしつつ、自分をアピールすることも必要でしょうし、参加している子どもにとってはカオスのような世界で、大変な負担がかかっているはずです …