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トップの現場力

生産から小売まですべてが現場「お客さまは誰か」に込める意味

丸谷 智保氏(セコマ)

セコマ(札幌市)は、北海道を中心にコンビニエンスストア「セイコーマート」を展開するほか、セコマグループとして生産や仕入、製造、物流といったサプライ・チェーンの仕組みも持つ。サービス産業生産性協議会による顧客満足度調査のコンビニ部門では、「セイコーマート」が2016~18年の3年連続で1位に輝いた。ことし9月に発生した北海道地震ではいち早く営業を再開する対応のすばやさが話題に。セコマが考える「現場力」とは何か、丸谷智保社長に聞いた。

セコマ 代表取締役社長
丸谷 智保(まるたに・ともやす)氏

北海道池田町出身。慶應義塾大学法学部卒業後、1979年に北海道拓殖銀行(現=北洋銀行)に入行。拓銀破綻後、外資系銀行勤務を経て、2007年、セイコーマート(現=セコマ)へ。09年から現職。

─顧客満足度の高さや、震災時の対応の早さが地域の顧客との深いつながりを感じさせます。丸谷社長が考える「現場力」とは何でしょうか。

当社は生産から小売までのサプライ・チェーンが事業領域であり、小売はもちろん、グループの製造各社や物流にも、細かく手を入れています。商品をはじめ、店舗や物流、製造、Web、SNSといったメディアもすべてマーケティングの範疇に入る。"現場力"がそもそも何を指すものとして話されているのかは、よくわかりませんが、経営はマーケティングそのものであり、経営としてマーケティングの対象となることはすべて、「現場力」につながっていると思います。

現場力の源は、お客さま目線です。ただし、お客さまというのは、必ずしも店舗に買いに来てくれる人ばかりではありません。

本部で販促企画を手がける人であれば、その人物が発するメッセージは、販促する商品を棚にきちんと並べたり、販促物のPOPを取り付けたり、販促に備えた数量を発注したりする人が最初に受け取ります。つまり店舗で働く1万7000人の従業員が第一のお客さまになるわけです。同じように、物流のルート配送をしている人にとってのお客さまは、店舗で荷物を待つ従業員ということになります。

つまり、トップがマーケティングを考えるときは商品をどう売るかを考えがちですが、実のところ「現場力」はそこにあるわけではないということです。商品がいくら納品されてもバックヤードに置かれたままでは絶対に売れません。売るためには決められた陳列数を確保し、商品を店頭に出してPOPを付けてもらう必要がある。そういったモチベーションを起こすことこそマーケティングで、モチベートすべき人が現場でのマーケティングの対象なのです。

「お客さまが誰かを知る」ことは、とても重要です。私は常にお客さまが誰かを考えています。買いに来てくれる人だけではなく、商品を並べる人やチラシ商品を発注する人、お客さまにおすすめする人など、さまざまな立場の人にどうアピールし、モチベートするか。

現場は意外とそういうところで動いていて、結果として、商品が売れるんです。そこの目線を持つことが、トップの現場力なのではないかと思います。

─セコマには生産から小売までサプライ・チェーンのすべての現場があります。店舗での「現場力」についてはどうお考えですか。

実店舗とEコマースとの競合について話題になることが多いですが、実店舗を、強力なネットと戦えるだけの存在にすべく、みなが力を入れてきたのかと問われれば、決してそうは言えないのではないでしょうか。

店舗には毎日たくさんのお客さまが足を運びます。そのお客さまは店舗で何を見るのか。デジタルサイネージ、POPなどの販促物、店内放送による販促、何よりもパッケージがきれいにつくり込まれた商品は、それ自体も販促物になります。つまり来店者を視聴者と捉えると、メディアとしての店舗はテレビよりも大きいのではないかと考えられます。だからテレビCMをやらなくてもいいということではありません。メディアとしての店舗をどのようにつくるかの話。これは非常に重要なポイントです。

当社は主要ナショナルブランド約30社を集めた販促政策会議を開き、リアル店舗への販促投資を積極的にやるべきだと話しています …

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