急速に市場が拡大するインバウンド。2015年のいわゆる"爆買い"現象で火がつきましたが、散発的な事象でなく、持続可能なビジネスに育てあげるには─。インバウンドビジネス総合メディア「訪日ラボ」が解説します。
vol.05
欧・米・豪
US, EUROPE, AND AUSTRALIA
観光庁と日本政府観光局は2018年2月、欧米豪市場を主なターゲットとした訪日需要促進キャンペーン「Enjoy my Japan」を開始した。従来のインバウンド施策といえば、中国ほか東アジア圏向けが多かったが、ことしから観光庁が音頭を取り、日本のインバウンド業界全体が、「欧米豪」へと大きく舵を切った。
欧米豪に注力する背景には、2019年開催のラグビーW杯がある。W杯を効果的にインバウンドにつなげるためには、その前年から欧米豪へプロモーションする必要があったのだ。また、欧米豪インバウンドは、地方にとって歓迎すべき存在である3つの特徴があり、W杯のタイミングと地方創生の文脈から、急速に視線を集めたというわけだ。
その特徴の1つめは滞在期間の長さだ。訪日客全体の約半数が「4~6日間」滞在するのに対し、たとえば訪日米国人なら「7~13日間」の滞在が約半数だ。欧米豪圏の訪日客の多くは、平均より1週間ほど長く日本に滞在する傾向がある。
2つめは、1回の訪日旅行あたりの消費額が高い点。全訪日客の1人あたり旅行支出の平均はおよそ15万円だが、欧米豪の多くは20万円を超える …
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