BMXやスケートボードが五輪競技に加わり、注目を集めるストリート系スポーツ。こうした種目にダンス、音楽などを融合させたイベントが「CHIMERA GAMES(キメラゲームス)」だ。

エクストリーム系、ストリート系のスポーツの祭典「CHIMERA GAMES(キメラゲームス)」の一幕。写真はバイシクルモトクロス(BMX)ストリートパーク。トップレベルのライダーが見せるパフォーマンスで観客を盛り上げる。
単独では集客力が小さくても集まれば大規模なイベントに
「CHIMERA GAMES(キメラゲームス)」はストリート系、エクストリーム系のスポーツと、ダンスやヨガ、音楽ライブなどが融合したイベントだ。
2018年9月29日、30日の「キメラゲームスVol.6」は、残念ながら台風24号の影響で2日めのイベントがキャンセルとなってしまったが、あいにくの雨にもかかわらず初日には約3900人が集まった。入場料は公式アプリにて購入すると大人で2500円(税込)、中学生以下は無料。それで、場内すべてのコンテンツが楽しめる。
初回は2016年。イベントを最も楽しんでいるのは小学生~中学生くらいの子どもたちで、家族単位での滞留時間は5~6時間に及ぶ。協賛企業にはアサヒ飲料の「ウィルキンソン タンサン」や「みずほフィナンシャルグループ」などが名を連ねる。
回を重ねるごとに認知度を高め、いまや多くの人を集める「キメラゲームス」だが、開催の発端は、FMXチームに所属する選手の、「僕たちはどうすればもっと人を呼べるようになるだろうか」という言葉だった。FMXとは、バイクに乗った人間が高さ10メートルまでジャンプし、着地までの間にさまざまな技を繰り出すフリースタイルモトクロスのことだ。
「キメラゲームス」を運営する「一般社団法人キメラユニオン」の文平龍太代表理事が、かつてモータースポーツのイベントに携わっていた際、持ちかけられた相談での発言だ。
「仮にFMXという競技単独では100人しか集客できなかったとしても、ほかの競技との共同開催であれば、集客規模を拡大できるのではないか。そう考えついたのが、(キメラゲームスの)始まりでした」(文平氏)
このアイデアは図らずも、従来のスポーツ観戦の課題を解決するものとなった。当たり前のようだが、会場に滞在する必要がある。野球やサッカーでも数時間、以前に、文平氏が手がけていたモータースポーツなら、丸1日サーキットで過ごす、ということもある。
いまでこそ、野球やサッカーなどでも試合以外の企画が催されるようになったが、あくまで中核となるコンテンツは、そのスポーツ。ほかの企画は、太陽の周りをめぐる惑星のようなものだ。
その時間を楽しみ尽くすというのは、ファンでなければなかなか難しい。かつて自動車イベントで、親に連れてこられ、つまらなそうにしている子どもたちのようすを目の当たりにしていた文平氏は、「小さい子どもから大人まで、素人もファンも、年齢や性別を問わず、楽しめる状況を作れないかと考えていた」と話す。
「キメラゲームス」では、前述のFMXのほかに、男女ともに日本人が世界チャンピオンのインラインスケートの、トップクラスの演技が見られるかと思えば、フラダンスやフラメンコに、けん玉やとび箱の身近なスポーツも。ペットと共に楽しめるドッグスポーツもある。
いずれかが主役なのではなく、あくまで位置づけとしては並列。来場者は好きなものを選んで見て回り、飽きることなく楽しむことができる。
見るだけじゃつまらない 発揮されるアスリート魂
「キメラゲームス」のターゲットは、前述のとおりファミリー層で、特に小学生を中心に中学生くらいまでの子どもを持つ世帯。これは出場するプレーヤーたちが、自分たちのパフォーマンスを見てもらいたい対象とも重なる。
イベントの設計も、子どもたちを中心に考えた。象徴的なのは、来場者もすぐに体験できるよう環境を整えたことだ。トッププレーヤーが技を披露している隣で、来場者も挑戦できるようにしたのだ …