サツドラホールディングスは、北海道を中心にドラッグストア「サツドラ」や調剤薬局などを200店舗以上展開するサッポロドラッグストアー、北海道内の提携店約650店舗で利用できる北海道共通ポイントカード「EZOCA(エゾカ)」を発行するリージョナルマーケティングなど、北海道を中心にさまざまな事業会社を展開している。富山浩樹社長に、地域に根づく企業ならではの現場力について聞いた。
―「サツドラ」もリージョナルマーケティングも北海道を中心に展開していますが、地域の企業ならではの顧客との接点づくりについてどう考えていますか。
リージョナルマーケティングでは、「地域が輝くプラットフォームづくり」というコンセプトを掲げ、「EZOCA」を単なるポイントカード、販売促進を目的とした価値交換の道具ではなく、地域の企業で提供する意味のあるものにしたいと考えています。そのための一つのキーワードはやはりお客さまとの接点です。
北海道の各地にあるドラッグストア「サツドラ」には、健康や美容といった個人の課題解決に役立つ商品に加え、食品や日用品など生活全般にかかわる商品を取り揃えています。そこで、人と人との触れ合いが生まれることこそが、お客さまと店のリアルな接点となります。「EZOCA」が"地域のカード"として、いっそう受け入れていただけるとすれば、そうしたリアルな接点を生み出すものだから、と言えます。
そして、今後さらに重要さを増すのは、「いかにコミュニティをつくるか」だと考えています。店舗という視点で言えば、「お客さまとつながることは、コミュニティをつくること」。また、「EZOCA」の正式名称は「エゾクラブポイントカード」と言いますが、「エゾクラブ」はリージョナルマーケティングが運営する会員組織の名称を冠しています。
「エゾクラブ」は、「北海道好きなら『エゾクラブ』ですね」と言っていただける場にすることを目指し、「エゾクラブ」が発行しているフリーマガジン『エゾクラブマガジン』や、Webメディアなどを通じたコミュニティ活動によって、会員や「EZOCA」加盟店をつないでいます。
また「EZOCA」には、プロサッカーチーム「コンサドーレ札幌」や、プロバスケットボールチームの「レバンガ北海道」といった地域スポーツとコラボレーションしたカードもあります。コラボカードは、使うたびにポイントの一部がチームに還元されるようになっています。つまり買い物のような日常的な行動を通じて、身近なチームや地域に貢献できるという、地域ならではの距離感でプラットフォームづくりをしているのです。
「EZOCA」は、北海道の地域企業を提携店としてつないだ結果、B to B(企業間)のコミュニティも生まれつつあります。地域の企業だからこそ持つ特徴として、経営者や現場担当者との距離が近いことが挙げられますが、「EZOCA」提携店同士のつながりを軸にさまざまなサービスや接点ができる、いわば地域のプラットフォームになっています。
―地域ならではのプラットフォームづくりなどの施策を進めていくうえで、富山社長の考える「現場力」とは何でしょうか。
一つは実行力だと思います。私たちは、地域の方々からは、もしかしたら大企業のようにとらえていただけているのかもしれませんが、日本全国で見ればまだまだ中堅以下だと、自認しています。しかし企業規模は小さくても、会社として掲げるビジョンや、取り組んでいる施策に対し、全社一丸となって実行することが、力になると考えています。
さらに、取引先メーカーなどのステークホルダーも巻き込み、現場のお客さまに直接、価値を提供していけるということが現場力にもつながっていくのではないでしょうか。
もう一つは、まだまだできてはいませんが、先ほど話したコミュニティから生まれる、人と人との接点を通じて、経営と現場の目指す方向性は見えてきます。それが現場力としては重要だと考えています…