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SPORTS TEAMに学ぶ集客術

大型補強を敢行した栃木SC スポーツ界にビジネスマインドを導入

栃木SC

2018年5月、写真共有サービス「スナップマート」を立ち上げた江藤美帆氏が栃木サッカークラブに入社した。江藤氏は、Jリーグディビジョン2のジェフユナイテッド千葉のサポーターであることを公言しているサッカーファンでもある。実業家として地位を築いた江藤氏がサッカークラブにどのような影響を与えるのか。栃木SCの今後のビジョンとあわせて、話を聞いた。

栃木SCのサポーターら。6月にはTwitterの公式アカウントが「#全員戦力外」のハッシュタグを付けてしまい、話題に。もともと「#全員戦力」を合言葉にしていた。7月には「#はじめての栃木SC」が注目の的に。スタジアム観戦未経験者が誘いあうハッシュタグだが、既存サポーターが、初観戦時の思い出を語る際にも使われる。

大変だけどやりがいがあるサッカークラブの運営

栃木サッカークラブ(栃木SC)は、1953年に栃木教員サッカークラブを起源に持つチームだ。2008年にJリーグディビジョン2(J2)へ参入したが、15年シーズンにはJ3へ降格してしまった。

降格直後にトップに就いたのが、橋本大輔社長だ。同氏は、地元・栃木のタウン誌などを発行する新朝プレスの社長(現任)でもある。

橋本新社長の旗振りのもと、クラブの立て直しを図り、18年は2シーズンぶりにJ2へ復帰した。現在の栃木SCは、J2定着、その先のJ1昇格を見据えた変革の途上にある。

その栃木SCで、5月からマーケティング戦略部長に就任したのが江藤美帆氏だ。写真共有サービス「スナップマート」の代表退任後、新たなビジネスにかかわることを検討していた際、ほかのサッカークラブの求人にも応募していたという。

「業界研究をする中で、抱えている課題も見え、私の経験はサッカークラブでも生かせるのではないかと感じました」と江藤氏は話す。

栃木SCは、J2に昇格したことで、降格時にスリム化した体制をもう一度整えようとしていた。江藤氏も「別の会社も受けて迷っていたものの、千葉ジェッツの島田慎二社長や、DeNAベイスターズの池田純元社長の本を読んで、クラブチームの運営は大変だけど、やりがいのある仕事だと感じていたタイミングだった」と話し、両者の意向が合ったことで入社が決まった。

できることから少しずつ スタジアムの不利を軽減する取り組み

入社して間もないこともあり、今シーズンはリーグの試合運営を通じた現状の把握に努めている。

「ほかのクラブと比べて、何が足りないのか、それはどうしてできていないのか、何が必要なのか、一つひとつ調査しています」(江藤氏)

すでにいくつかの課題が浮き彫りになってきた。江藤氏が栃木に来て、最も驚いたのが、地元でのチームの認知度の低さだった。

「周りにいる20歳代~30歳代の栃木在住の人に聞いても、名前は聞いたことがあるという程度で、『いつ、どこで試合をしているのか、知らない』と言われたのは衝撃でした」(江藤氏)

江藤氏が地元での認知が低い原因として考えているのは、ホームスタジアムである「栃木県グリーンスタジアム」の最寄り駅、宇都宮駅周辺にクラブの気配がないことだ。

「宇都宮駅の規模が大きいという事情もありますが、目立つところにポスターなどがない。駅からスタジアムまでの間にグリーンスタジアムの存在を感じさせるものも少ない」(江藤氏)

スタジアムは駅から車で30分ほどの「清原工業団地」の北公園内にある。中央公園内にある硬式野球場は『宇都宮清原球場』という名前から、どこにあるのかイメージしやすいが、グリーンスタジアムでは道路案内もなく、地元の人でもなじみは薄い。

スタジアム内にも問題はある。どこに何があるのかを示す案内板がほとんどなかったのだという。トイレも通路から内部が見えるような場所があるなど、プロスポーツの興行を実施する場所として、満足できる環境とはいえない。

駅からの道路標識はクラブの力ではどうにもならない部分もあるが、周辺でのポスターやのぼりの掲出で補える。スタジアム内は「トイレの入り口にのれんをつけたり、案内板を増やしたり、現社長になってから、できる範囲で快適性を高める取り組みを進めています」(江藤氏)

また、グリーンスタジアムは、公園内にあるとはいえ、周辺でイベントを開催したり、屋台を出店したりするほどのスペースがあるわけではない …

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