西日本が7月、豪雨に見舞われ、大きな災害となった。住民はもちろん、現地企業は復興の途上にある。そして、現地に拠点を持つ、西日本以外の企業も少なくない被害を受けている。有事の際に事業継続性を保つためのBCPをいま一度、見直したい。
策定企業は14.7%──BCPは平時にも利点がある
BCP(事業継続計画、Business Continuity Plan)という言葉に再び注目が集まりつつある。
2011年3月の東日本大震災時、中小企業の多くが、貴重な人材を失ったり、設備を失ったりしたことで、廃業に追い込まれたほか、被災の直接の影響が少なかった企業でも復旧が遅れために自社の製品・サービスが供給できず、顧客離れが起きて事業を縮小、従業員を解雇に至ったケースもあった。
こうした背景から、災害など有事の際、どのように対応するかを定めた計画が、BCPだ。主に、優先して再開する業務や、原料の調達・輸送の代替手段などを明記する。
BCPによって、企業が事業の継続可能性を高めることは、その企業が被災したときの被害を軽減するのはもちろん、被災地外、あるいは比較的軽微で済んだ企業によって、迅速に復旧支援ができる利点もある。
しかし、帝国データバンクの調べによると、ことし5月時点で、BCPを「策定している」とした企業は14.7%にとどまった。2017年5月からは0.4ポイント増でほぼ横ばい。また、「現在、策定中」「策定を検討している」を合わせても44.9%と半数に満たなかった。
業界別では、BCP策定企業が最も多いのは「金融」で39.0%。次いで、「農・林・水産」の21.2%。以下「サービス」18.1%、「製造」15.9%、「運輸・倉庫」15.7%、「建設」15.1%、「小売」12.8%……と続く。最も低いのは「不動産」で10.3%だった …