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遠くて近い、英国王室と英国民

小西純子

英国と日本には共通点がある。島国で、人口密度が高い。かたや武士道、かたや騎士道。象徴君主を置き、お茶が好き。全く異なる点もあるが、英国のいまは、ヒントになるだろう。現地からのレポートをお送りする。

バッキンガム宮殿。英国王室に国民が向ける視線は、厳しくもあり、親しみもあり、期待もあり─さまざまな糸が縦横にまざる織物のようだ。

ロイヤルベビーの誕生やロイヤルウエディングなど、日本でも話題になることが多い英国王室は、英国民の目にはどう映っているのだろうか。

まず、国内で報道される王族の姿で多く見られるのは、慈善活動にいそしむシーン。

たとえば女王やチャールズ皇太子には、自らの肩書を冠した慈善団体がある。ウイリアム王子夫妻とハリー王子は、近年、社会問題となっている国民のメンタルヘルス向上に取り組んでいる。

さらにチャールズ皇太子は、彼が趣味で描く水彩画を販売する会社や、私有地で育てた原料を用いた自然食品メーカーを経営している。商品はすべて一般販売され、食品はスーパーマーケットを通じて国民の食卓にのぼる。売り上げの一部は皇太子主宰の慈善団体運営に回される。

王室メンバーはチャリティ活動の広告塔になりうるし、彼らの姿はメディアで報道されるほか、王室が運営するWebサイトや、ソーシャルメディアでも見かける。

伝統的に階級社会である英国では、身分の高い者は公に尽くすべきであるというノブレス・オブリージュの精神がある。英国王室も、慈善活動によってこれを全うしているのだ。

しかし、その半面、経費の多くを税金に頼る王室メンバーへ、国民が向ける目は厳しい。新聞では彼らの旅費、住居の改装費、スタッフの平均給与、女王の年収などが報道される。そのため、王室は国民に親しまれるべく努めている面もある。

日本でもキャサリン妃がファストファッションや古着を着用したり、故ダイアナ妃にならって宮殿ではなく病院で出産したりしたことが話題になった。これも、ぜいたくへの批判を避ける意味も込めた行動であったと解釈できる。

英国は、国民皆保険制度により国立の病院はすべて無料で利用できるが、キャサリン妃が出産したセントメアリー病院リンド棟(産科病棟)は、国立病院内に特設された私立病棟であり、有料だ。ここで支払われた医療費は、国立病院の運営費に回される。このような形でも、国民への配慮がなされているのだ …

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