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SPORTS TEAMに学ぶ集客術

フットサル界の「ゆず」になれるか Y.S.C.C.横浜が目指す栄光の架橋

Y.S.C.C.横浜

2018年、日本フットサルリーグ(愛称Fリーグ)にディビジョン2(F2)が新設される。参入が決まっているY.S.C.C.横浜は、「チキチキ!YSチケットダービー」と銘打ち、所属選手の誰からチケットを買うかを選ぶ、人気投票風のチケット販売方式を採っている。選手個人を支援する「TANI-MACHI」などユニークな施策を導入するY.S.C.C.横浜の取り組みを紹介する。

Y.S.C.C.横浜のチームメンバー。個人スポンサー「TANI-MACHI」になると、選手のトレーニングウエアに名前を入れられる。

ベンチャー起業家がフットサルクラブを運営する理由

2007年にスタートした、フットサルの全国リーグ「Fリーグ」は、2018年から2部制で実施される。新たに創設されたディビジョン2(F2)は、Y.S.C.C.横浜を含む8チームが加わり、6月30日に開幕した。Y.S.C.C.横浜のフットサル部門で、ゼネラルマネージャーを務める渡邉瞬氏は、企業のオフィスへ野菜を配達するサービスを展開する「OFFICE DE YASAI」の取締役という、ベンチャー起業家としても活躍している。

渡邉氏は、学生時代から関東リーグの2部入りしたこともあるファンタース・ソールトラップ横浜に所属しており、起業よりも先にフットサルとの関わりがあった。

同チームが県リーグへとカテゴリーを下げた際、渡邉氏は「チームや組織が残っていくためには、常に成長、発展していく環境が必要だ」と考えたという。

そこで2011年にフットサル部門を立ち上げ、当時神奈川県3部リーグに参加していたY.S.C.C.のフットサル部門と交渉し、ファンタースを吸収合併する形で、現在のY.S.C.C.横浜が誕生。2013年から、県リーグ1部に参加していた。

渡邉氏は、一時は事業に重心を置いていたが、2015年からクラブの運営にも復帰。2部制の話が持ち上がっていたFリーグへの、接触を始めた。

Fリーグが2部制導入を正式に発表したのは2018年1月のことだった。参入にあたり課題となるのは運営資金だ。渡邉氏によると、地域リーグに所属するチームの運営資金は200〜300万円ほど。20人ほどのチームなら、年間1人10万円から15万円かかる。これは、チームメンバーから月に1万円強の会費を集めれば賄える規模だ。しかし、Fリーグでは、F2でも人件費を除いて1000万円は必要となる。それはY.S.C.C.横浜という組織にいれば集まるレベルではない。

ユニフォームへの企業名掲載や、試合会場の看板掲出といった、チームスポンサー集めと並行して、所属選手がそれぞれ個人支援を募っている。それが、クラブ後援会「TANIMACHI(タニマチ)」だ。入会して所属する選手を支援すると、個人や企業名を、その選手のトレーニングウエアに載せることができる。

「クラブのスポンサーになるほどの支援はできなくても一口1万円からスポンサーになることができます」(渡邉氏)

クラブのスポンサーになれない場合の「釣りサポ」という支援方法もある。会計時のおつりでチームをサポートしてもらおうという試みだ。横浜近郊の飲食店やフットサル場などのスポーツ施設、整骨院など200個近い募金箱が設置されている。

「お金は出せないと言われて、そのまま終わるともったいないので、募金箱を置かせてもらっています。コンビニなどにある募金箱の集金状況を調べたところ、一個あたり2000円くらいは見込めそうです。1000個設置できれば年間200万円になります」(渡邉氏)

「釣りサポ」には、「営業の代行や、コネクションを増やす役割もある。将来を考えても、募金箱は、(集まる募金以上の)アセット(資産)になると考えています」と話す。

選手への支援を可視化する「チケットダービー」

関東リーグや県リーグを見に来るのは、選手の家族や友人が大半だ。Fリーグ参入で初めて、本格的に集客を考えることになる。渡邉氏は集客のターゲットについて、「スポーツのファンは、選手のファンと、地元チームだから、という人に大別されます。即効性が高いのは選手のファンだと考えているので、まずは人、選手個人を応援する方を招きたい」と話す。

ただ初年度は、そこまでターゲットを絞った集客をせず、「ホームゲームをしっかり運営していくためのテストのような位置づけで、集客の仕方も試行錯誤したい」(渡邉氏)とも …

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