今回で7回目となる2018年春のパッケージデザインランキングの結果が出た。2万5000人を対象に522の新商品のランキング調査をした結果、1位は「ヱビスビール 桜デザイン缶」となった。
パッケージデザインのランキングは、いまの消費者の気持ちがそのまま反映されていることが多く、今後のマーケティング施策における情報源になる。今回、ナンバーワンとなった「ヱビスビール」の桜デザイン自体は、それほど新しいものではなく、毎年の恒例デザインになっている。ではなぜ、トップにつけたのか。理由は2つある。ひとつめの理由はデザインの進化にある。「ヱビスビール」は、2年前の2016年にデザインと味を33年ぶりにリニューアルした。
実は「ヱビスビール」は、もともとのデザインを大きく崩さない範囲で、金の色味やロゴなどを時代に合わせて丁寧に変化させている。消費者からすると、どこが変わったのか、わからない程度の変更だ。こうしたデザインの刷新方法は、心理学でいう「丁度可知差異」で、ロングセラーデザインの定石だ。「ヱビスビール」のデザインリニューアルはこの点をしっかりと守ってきた。
一方で、「ヱビスビール」はここ数年、さまざまな味種の展開をしている。「ヱビスマイスター」に始まり、「華みやび」「プレミアムブラック」「琥珀ヱビス」「ヱビススタウト」「格別の乾杯」「ヱビスザホップ」と枚挙に暇がない。
重要なのは、「味種」と「デザインカラー展開」を行うことで、ブランドの鮮度を強化し、幅広い顧客層の開拓を続けている点だ。その際、ブランドの世界観を維持・強化して注意深くデザインを展開していることも強調したい。デザインを丁寧に強化し続ける中で、この桜デザインも毎年進化してきた …