英国と日本には共通点がある。島国で、人口密度が高い。かたや武士道、かたや騎士道。象徴君主を置き、お茶が好き。全く異なる点もあるが、英国のいまは、ヒントになるだろう。現地からのレポートをお送りする。
クリスマスやバレンタイン、ハロウィンなど、西洋由来だが日本にも定着した行事は多い。「イースター」も近年デパートやケーキ店などでモチーフにされるようになった。
イースターは、欧州各地の文化や宗教が組み合わさって成立した。Easterの語自体は、アングロ・サクソン人のペーガニズム(自然信仰)に登場する多産と豊穣の女神エーアストラの名が起源という。
エーアストラに日の出や生命の誕生のイメージがあったことから、後にキリスト教が伝わった際、イエスの処刑後の復活が結びつき、現在に連なるイースターが成立したようだ。
英国のイースターでは、宗教的なイベントとしてキリストの受難と復活を再現した演劇がある。ロンドンでは毎年、トラファルガー広場で、100人以上の俳優によって無料イベントとして披露される。
また、現地ではポピュラーな催事に、パンケーキ・レースがある。キリスト教ではイースター前に、キリストの受難を思い起こし、約40日間、断食をする習わしがあり、これを「レント」と呼ぶ。「レント」までに台所にある卵や牛乳を使い切るため、少なくとも16世紀ごろにはパンケーキを焼く風習が生まれたらしい。
さらに、参拝日までに卵と牛乳の消費が間に合わなかった主婦が慌ててフライパンを持ち、パンケーキを焼きながら教会へ向かったというユーモラスな逸話がある。それをヒントに始まったのだそうだ。
パンケーキ・レースは国中で行われるが、毎年ニュースで取り上げられるのは、貴族院議員を含む国会議員らがチャリティのためにロンドンで挑戦するもの。身分に関係なくエプロン姿でパンケーキを焼きながら必死に走る彼らの姿は笑いを誘い、多くの観客で賑わう。階級制度のある英国ならではの光景だろうか。
英国でのイースターは旅行会社の書き入れ時
イースターと聞いて多くの英国人の頭に浮かぶのは休暇だろう …