ユニークかつ効果的なプロモーションを展開する企業のトップに、どのような視点で販促を考え、展開しているのかを聞く。

マザーレンカ 代表取締役社長 池田貴子氏
20歳より池坊いけ花講師。父の死をきっかけに29歳でサラリーマンへ転身。投資会社レーサムリサーチに勤務。社長室、マーチャントバンキング部などを経て、(旧)グランドオーシャンホテルズ代表取締役社長就任。その後、アパリゾートの執行役員社長に就任。2008年マザーレンカを創業。12年「ドクターズチョコレート」ブランドを設立。
野菜並みに低いGI値のドクターズチョコレート
マザーレンカが製造・販売するチョコレート「ドクターズチョコレート」がファンを増やしている。2012年の販売スタート以来6年で、年間約50万個を売り上げるまでに成長した。売上高の伸びは、2016年は前年比35%増、2017年は同比48%増となっている。
「ドクターズチョコレート」は、世界最大級のチョコレート原料会社であるバリーカレボー社と提携し開発した商品。同社の最高級ベルギーチョコレートを、マザーレンカが日本やアジアの人たちの嗜好に合うよう調整して製品化したのだ。
商品ラインナップは、ダークタイプとミルクタイプの「ドクターズチョコレート」と、サクサクした食感の大豆キューブに乳酸菌とチョコレートを染み込ませた「サクッto COBARA」の3種類だ。
原料に最高級ベルギーチョコレートを用いているが、砂糖の使用はゼロ。GI値(血糖値の上昇度合い)はダークタイプが26、ミルクタイプが36で、どちらもキャベツやタマネギなどの野菜と同程度だ。
マザーレンカの池田貴子社長は、「GI値は、EUでもトップクラスの食品検査機関である、フランスのナチュラルファ社で計測しており、信頼できるエビデンスがあることが、この商品が医療機関で評価されている大きな強みになっています」と話す。
「ドクターズチョコレート」は、三越日本橋本店との共同開発商品として2012年に誕生した。同年2月、期間限定で販売すると、チョコレートを食べたくても食べられない、糖尿病などで悩む人やその家族が購入。
「糖質制限を気にしないで食べられる」「大好きだったチョコレートをもう食べられないとあきらめていたが、おいしいチョコレートを安心して食べられて感激」と、大きな反響を呼んだため、当初予定していた販売期間を数カ月延長し、顧客のニーズに対えた。
「日本で一般的なミルクチョコレートのGI値は平均91と言われています。販売してみると、チョコレートを食べたくても食べられないと悩んでいた、たくさんの顧客からとてもおいしいと感謝の言葉をいただきました。チョコレートを売って感謝されるとは、思いもよりませんでした。『ドクターズチョコレート』の味と機能が、糖尿病患者らのニーズに合致し、役に立てていることを実感しました」(池田社長) …