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SPORTS TEAMに学ぶ集客術

歴史と伝統を深める埼玉西武ライオンズ 本拠地改修で描く未来

埼玉西武ライオンズ

埼玉西武ライオンズはことし、誕生40周年を迎える。球団名に「埼玉」を加えた2008年から10年を経て、地域への浸透をますます強めている。節目となるシーズンを迎え、本拠地メットライフドームと周辺エリアの改修に着手、各種記念イベントも実施した。スタジアム改修を機に、球団史に新たなページを加える埼玉西武ライオンズのビジョンに迫る。

本拠地メットライフドームは、既存の球場に屋根を架設するという方法でドーム化。そのため壁面から屋外の景色が見え、自然の光と風を取り込むことができる。

地域への浸透と若年層の認知獲得 小学生への帽子プレゼント

埼玉西武ライオンズは、1978年にクラウンライターライオンズを国土計画(=当時、現在はプリンスホテル)の堤義明氏が買収したことにより誕生した。これまで一度も最下位でシーズンを終えたことはない。西武ライオンズとして初のリーグ優勝と日本一を遂げたのは、1982年のことだった。

森祇晶氏が監督を務めた1986年から94年までの間には、石毛宏典、秋山幸二、工藤公康、清原和博などの実力者を擁し、1シーズンを除いてすべてリーグ優勝、二度の3年連続日本一を記録するなど、人気、実力を兼ね備え、黄金時代を築いた。現在も「おかわり君」の愛称で知られる中村剛也や菊池雄星など、継続的にスターを輩出している。

チームは2008年に、より地域へ密着した存在になることを目指し、ホームタウンである「埼玉」を冠した。これにともない、西武鉄道が所有している球場を、球団が年間を通じて借り受け、球団と球場の運営を一本化するなど、事業改革にも着手した。

観客動員も堅調に推移している。2017シーズンは、主催試合72試合で167万3219人を動員。2005年に日本野球機構(NPB)が入場者数を実数発表に変更して以来の最高値を記録した。

埼玉西武ライオンズとなって10年、来場者、売り上げともに伸ばしてきたが、事業部長の井上純一氏はこう語る。

「ファンクラブ会員も増加傾向で推移していますが、近年は踊り場にさしかかっていると感じます」

ファンクラブ会員増加の勢いは落ち着きつつあり、世代構成も高齢化している。10年前に入会した人は当然、10歳、年齢を重ねており、平均年齢を高める要因となる。事実、ファンクラブ会員の年代は10歳代〜20歳代が少なくなっており、「若い世代のファンの方を獲得して、ファンクラブ施策を見直す段階にきている」(井上氏)

現在、ファンクラブ会員のボリュームゾーンは30歳代〜40歳代。10歳代〜20歳代の比率はやや寂しい。これにはファンクラブの制度によるところでもある。

「埼玉西武ライオンズオフィシャルファンクラブ」には、会員に合わせ、年会費が異なる4つのコースがある。「ハイグレード」「レギュラーA」「レギュラーB」「ジュニア」に分かれている。若年層向けは中学生以下のジュニアのみで、中学生以上はどのコースを選んでも一般会員と同様の年会費が必要になる。

結果、小学校を卒業するとファンクラブをやめてしまう層がいるのだという。井上氏は、「小学校卒業から一般の間に受け皿を用意するなど、ベースとなるコースも見直す時期に来ているのかもしれません」と話す。

ファンクラブ会員に限らず、若年層の取り込みは、長期的な視点からも必要だ。

そこで、埼玉県ならびに各教育委員会の協力を仰ぎ、県内の小学生を対象に帽子をプレゼントする企画を実施した。2017年度、県内には約38万人の小学生がおり、そのうち球団の活動に賛同し、希望した小学校の30万人に帽子を配布した。

子どもたちがプレゼントされた帽子をかぶることによって、西武線沿線を含む県下全域にライオンズの認知を高める狙いだ。

ライト層を意識したフリーマガジン 来場のきっかけ作りに

若年層と並び、戦略的にターゲットとしているのは野球にさほど関心が高くない、いわゆるライト層。「ライオンズは12球団中でも女性の来場比率が低いので、ライト層のなかでも特に女性は、まだまだ伸びしろがあると考えています」(井上氏) …

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