うつろう消費者の関心をひきつけるには。コンテンツを調達し、課題解決に生かす新興企業が躍動を始めている。
プロモーションを自走させるコンテンツ
オールブルーは、「コンテンツブティック」を掲げる新進の企業だ。2013年7月に営業を開始した。「コンテンツブティック」とは耳なじみのない語句だが、実態には沿っている。顧客に必要なコンテンツを調達、提供することが、オールブルーの事業のエンジンとなっているからだ。
もちろん、コンテンツありきではない。ブランド、商品やサービスが持つ課題を、ターゲットとコンテンツのかけ合わせで解決する。サラリーマン、主婦、女子高生などといったターゲットをまず定め、次に相性のよいコンテンツを探す、というのが基本方針だ。
オールブルーの助野太祐社長は、「広告もプロモーションもコンテンツ化してファンを増やす」ことを掲げる。
クライアントはメーカーからインフラ、地方自治体まで幅広い。
「テレビCMありきじゃない提案を頼みたい」というクライアントの声も増えてきたという。そうした顧客に対し、「プロモーション自体をコンテンツ化し、自走させる」と助野社長は力を込める。なぜそこまで、コンテンツに力を注ぐのだろうか。
それは、助野社長が某飲料メーカーを顧客に持つ営業担当だったころまでさかのぼる。当時はテレビCMを制作したり、サンプリングをしたりと、空中戦から店頭までさまざまなタイプの販促に携わっていた。
「あるとき、某映画とのコンテンツタイアップを企画したのですが、その際にモノと人が激しく動いたのを目の当たりにしました。時代時代で人の集まるメディアは移り変わりますが、結局、コンテンツが一番強い。さまざまな広告表現を否定するわけではありませんが、私はコンテンツの突破力を感じています」
オールブルーのチーフコンテンツオフィサーを務める、丸山紘史取締役も口をそろえる。「私も、数年来担当する企業が、いろいろな施策を打っていたんですが、あるキャラクターを出したときに、すべてを蹴散らしていくのを目の当たりにしました。いまもグッズは人気。広告といえば広告ですが、キャラ単体として愛されているのが衝撃でした」
世の中が注目する機を狙いタイムリーに発信する
オールブルーは決まった手持ちのコンテンツの提携先を探すのが仕事なわけではない。あくまでマーケティング上有効なコンテンツを調達し、プランニングするのが業務。となると、肝心なのは、実際に自らの足を動かし、五感を最大限働かせること。しかし時間は有限だから分野はしぼる必要がある。となれば、興味の向く先が効率的だ。オールブルーのメンバーはそれぞれ、イベント、タレント、音楽、ファッション、アニメ……と、造詣の深い分野が異なる。
アンテナは国境を超え、世界中に張っている。各人が、おのおのの業界へのネットワークを持つ点も強み。同社では、各スタッフがインプットの時間を大切にしている。
「大体、社員は夜6時30分〜7時30分ごろにはオフィスを後にします。以降は情報収集の時間。それを前提に、日中の仕事を入れているのです。われわれの理想は、生活の延長が仕事であるような、調和の取れた状態。ワークライフバランスの一歩先、ワークライフハーモニーを意識している」と助野社長は明かす。
たとえば丸山氏は週に3回は、あらゆるトレンドの発信源をめぐり、若者世代や主婦層などの関心事を探るという。またあえて“注目されつつある”イベントやスポット等に行ってネットワークを築いていく。
「トレンドになってから探すのでは遅い。世の中の視線が集まった際、タイムリーに起用するから効果があるんです。ふだんからアンテナを張り巡らせ、わたりをつけておかなくてはなりません」(丸山氏)
24時間働く、すべてを仕事に生かす、といった野暮ったさは全くない。消費者が話題の店に集まり、人気のアーティストなどの商品を手に取るのと同じ感覚なのだ。そうした意味でもまさにブティック。オールブルーのメンバーは、流行りものが好きで、仕入れて提供する、コンテンツバイヤーと言えるかもしれない。
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株式会社オールブルー
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