労働人口の減少が顕著となるなか、ロボットや自動化システムが進化しはじめている。その先鞭をつけたのが、ハウステンボスの「変なホテル」だ。

「ハウステンボス 変なホテル」の受付で宿泊客を出迎えるロボット
144の客室を持つホテル 8人のスタッフで運営
「近い将来、ホテルにかぎらず、小売業でもロボットが普及し、無人接客が一般的になると思います」─こう話すのは、ロボットが接客するのが特徴の「変なホテル」を運営する「ハウステンボス」(長崎県佐世保市)の総支配人、大江岳世志氏だ。
小売業などでは人手不足が慢性化している。他方、外国籍の観光客はますます増えており、どのように対応すればいいのか、一律の答えはない状況だ。言葉の壁をテクノロジーで超えるのも、解のひとつではあるだろう。
「変なホテル」の第一号となった、「変なホテル ハウステンボス」が開業したのは2015年7月(第一期)。現在の、年間の稼働率は平均で8割。繁忙期には9割を超え、閑散期でも7割を維持している。16年3月の二期棟の開業以降も、稼働率に変動はなかった。
宿泊客の延べ数は、ことし4月現在で約20万人(添い寝客を除く)。
国籍別では、日本国籍が6割〜7割、外国籍の観光客などは3割〜4割だ。「外国籍の旅行者の接客でも、ロボットが応じることで、特別に外国語の堪能な従業員でなくても、ホテル運営ができます。そういう意味では、訪日客の接客でも、ロボットは効率化を果たしてくれています」
利用客の中心世代は20歳代後半〜30歳代で、ファミリー層が多い。男女比はほぼ同数。
開業に伴い、メディアを介して世間の視線を集めたのは、受付を担当する「恐竜型ロボット」や、「女性型のヒューマノイドロボット」だ。このロボット“たち”が、チェックインなどのフロント業務を担う。
当初ロボットの数は6種類・82体だったのが開業以来約2年間で、27種類・233体まで増やした。自動精算機を代替したり、掃除もロボットが行う。
第一期開業時の客室数は72だったが、二期棟のオープンで144に倍増した。しかし、「変なホテル ハウステンボス」の従業員は開業当初は30人が所属していたが、現在は8人で切り盛りしている。これも、ロボットによる成果だ …