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「ワンショット消費」にどう対応する? メルカリがセミナー

第一部。メルカリの小泉文明社長(手前)とともに登壇した慶應義塾大学大学院の山本晶・准教授(奥)は、メルカリによる消費行動についての意識調査を監修。

メルカリは4月16日、「消費変貌"売ることを前提にモノを買う"フリマアプリ時代の消費行動とは」と題したセミナーを実施した。慶應義塾大学大学院の山本晶・准教授が監修した、消費行動についての意識調査をもとにしたもの。調査は、消費者間で商品を売買するフリーマーケット(フリマ)アプリの利用者500人と、非利用者500人。地域は全国。セミナーには報道関係者や一般の参加者を招いた。

第一部のテーマは、「『ショッピング=新品』はもう古い フリマアプリがもたらした、新たな"価値"とは」。メルカリの小泉文明社長と山本・准教授が登壇。山本・准教授は、「マーケティングの教科書は、消費者が購入する商品は新品が前提だった」と指摘する。

「しかし、いまや新品に加え、中古品を考慮に入れる必要がある。調査で見られた『一時的に必要なものはレンタルなどですませたい』という回答からも、商品は所有するものではなく、利用するものだという意識が現れてきている。一方、従来すぐに捨てるものだったタグや付属品は、売りに出すことを見越して、保管するものになってきている。購入時の判断材料でも、価格や品質に加え、再販時の売価も入ってきている」

一方、小泉社長は「(フリマアプリが)単なる売り買いの場ではなく、自己表現や承認欲求を満たすプラットフォームにもなっていると感じる」との考えを述べた。

「単なる経済的な価値の交換だけでなく、売買行為そのものに価値が出てきている。買い手との値引きの交渉などコミュニケーションを楽しんでいる方もいるようです。メルカリで言えば、同じ人が、売り手でもあり、買い手でもある。メルカリで売って、メルカリで買うというふうに、メルカリ上で商品が循環している傾向もあります。『共有のクローゼット』になっている」

第二部では、雑誌『Numéro TOKYO』のエディトリアルディレクターなどを務める軍地彩弓さんと、ファッションブランドfeast(フィースト)などを手がけるハヤカワ五味氏がステージに。テーマは、「『新品離れ』『ワンショット消費』…変わりゆく若者のトレンド アパレル業界の対抗策は?」だ。

「ワンショット消費」についてハヤカワ氏は、「妹の話を聞いていると、『写真を1回撮り、写真ソーシャルメディアのInstagram(インスタグラム)に投稿して、もう着られないから売る』ということです。シェアが前提にあるようす」と話す。

「また、洋服を買おうとすると、妹から『それ、メルカリで売れないから買っちゃだめだよ』と言われたこともあります。『ほかの人が買いたいと思うか』が、商品選びで重要になってきているようです。メルカリでは売却済みの商品も閲覧できるので、どういう商品がどれくらい売れるのかも見られているのではないでしょうか」

これに対し、軍地氏は、「ファッション業界でも、『再販される価値のないモノ』を生産しているブランドは淘汰される」と指摘する。ハヤカワ氏も「なので、(自身のブランドfeastでは)売られるときのことを考え、商品写真を見ただけで、『あのブランドの商品だ』とわかるようにしています」と話をつないだ。

「たとえば、エリのデザインやウエストのしぼりに個性が出るようにして。タグなども、feastのものだと証明できるものを作るよう配慮しています。キーワード検索をする際、商品名が英語だとスペリングを間違える人が多いので、feastも、カタカナを併記するか、カタカナだけで表記することもあります」

所有せず、見知らぬ誰かとゆるやかに共有するような消費が現れはじめた現代。ファッションブランドだけでなく、メディアも変革を迫られているのかもしれない。軍地氏は「ファッション誌などはこれまで、『新しい』ということを伝えるものでしたが、今後は『なぜ、この商品がいいのか』『どのようなストーリーがあるのか』といった、モノの価値を伝える存在に変わらねばならないと考えています」と語る。

一方、ハヤカワ氏も、「『新品だから買ってもらえる』という先入観は捨て、新品で購入するからこその体験を大切にしなくてはならないと思います」とブランドを手がける視点から考えを披露。

「ショッパーを手にとったときの手触りだったり、Eコマースであれば届いた箱を開けた瞬間のウキウキ感だったり。最も早く、そのブランドの新作を手に入れたいと思ってもらえる、リアルタイム性のある体験を考えなくてはならないです。ただモノをデザインするだけではなく、デザインしたモノを手にとってもらった体験自体をデザインすることを意識して、ものづくりをしていきたいと思います」

第二部。左から、ファッションブランドfeast(フィースト)などを手がけるハヤカワ五味氏、ファッション誌の編集などに携わる軍地彩弓氏が壇上に。メルカリの小泉社長が聞き手となった。

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