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AdverTimes DAYS 2018 レポート

消費者の多様性をとらえる シンプルなマーケティング

本間 充氏(電通マクロミルインサイト)

電通マクロミルインサイトでチーフ・デジタル・オフィサー(最高デジタル責任者)を務める本間 充氏は4月11日、「多様性をとらえるシンプルなマーケティング」をテーマに講演。花王でデジタルマーケティング分野を担っていた本間氏は、シャンプー「エッセンシャル」を例に挙げ、同テーマについて解説した。

「カワイイは、つくれる。」と「自分の髪にキュン!とする。」

「エッセンシャル」は1976年発売の、花王のロングセラーブランドだ。本間氏は2007年以降、同ブランドのデジタルマーケティングの担当となった。「当時、シャンプーなどのヘアケア製品市場は過渡期。各社の施策は、新たなブランドを打ち出すか、顧客と共に歳を取りつつあった既存ブランドにてこ入れするかで、二分されていた」と本間氏は振り返る。

花王が選んだのは後者だった。そこで打ち出したのが、「カワイイは、つくれる。」というキャッチフレーズだった。リニューアル前、30歳代〜40歳代が特売時に買うブランドというイメージがついていたため、「改めてターゲットの20歳代女性にアプローチしよう」と定めたフレーズだ。

テレビCMでは、リア・ディゾンさんや中川翔子さん、佐々木希さんや皆藤愛子さんといったタレントのほか、お笑い芸人の山崎静代さん(南海キャンディーズ)や、漫画家の山咲トオルさんを起用。当時としては異例だった。

CMはいわゆる「女子会」のような雰囲気で、「誰かのためではなく、自分のためにかわいくなりたい女子」という想定ターゲットへの浸透を図った内容に。これらの施策で、リニューアル1年前の2005年8月時点のシェアを100とすると、リニューアル後の06年9月以降は170前後に跳ね上がるという成功を収めた。ねらいどおり、20歳代の購入者も増加した。

それから約3年後、再びブランドの活性化を目的として花王が打ち出したメッセージは、「自分の髪にキュンとする。」だった。一見、「カワイイは、つくれる。」の文脈を引き継いだかのように感じられるコピーだ。しかし、本間氏は「このコピーを打ち出したのち、『カワイイは─』で定着した顧客は離れてしまったという。一体どこに、違いがあったのだろうか …

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