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経営トップ 販促発想の着眼点

顧客と商圏を絞り込み 高値販売で粗利率を上げる

ヤマグチ

ユニークかつ効果的なプロモーションを展開する企業のトップに、どのような視点で販促を考え、展開しているのかを聞く。

ヤマグチ 代表取締役 山口勉氏
1942年東京都町田市生まれ。1965年松下通信工業(現=パナソニック)を退職。電器店での修業後、町田市に「でんかのヤマグチ」をオープン。「お客様にトコトン尽くし、心の商いを実践する」をモットーに掲げる。相次ぎ進出してきた家電量販店とわたり合い、毎月70~100世帯の新しい顧客を増やしている。

本業とは関係ない顧客の困りごとを解決

東京・町田市の家電販売店「でんかのヤマグチ」を運営するヤマグチは、価格競争が進む中、高価格での販売を貫く。2017年の年商はおよそ10億円。家電販売店の平均粗利率は30%と言われる中で、40%という高い粗利率と、21期連続の黒字決算を達成している。

店舗が位置するのは、最寄り駅(JR横浜線淵野辺駅)から2キロメートルほど離れた住宅地の中だ。売り場面積120平方メートルほどの2階建ての店舗には、テレビや冷蔵庫などの白物家電が並ぶ。

創業は1965年。当時は高値ではなく、一般的な価格で販売していたが、転機となったのは21年前、近隣に大手の家電量販店が進出し始めたときだ。

「ピーク時には2キロメートル圏内に6店舗が出店してきました。何も対策を講じなければ、当社は近いうち、廃業か倒産かのどちらかという状況です。生き残るために考えたのが、商品を安く売る量販店とは逆に高値で売り、粗利率を上げることでした。当時、一般的な街の電器店の粗利率は25%程度でしたが、当店では35%を目標にしました。同業者からは、無理だろうという目で見られました」と、ヤマグチの山口勉社長は振り返る。

高い粗利率を達成するために行ったのが、顧客を減らすことと、商圏をせばめることだ。当時、ヤマグチにはおよそ4万世帯の顧客データがあったが、限界まで値切る顧客や、直近5年間で購入実績のない顧客をデータベースから外し、1万世帯に減らした。商圏も地元の町田市および隣接する相模原市の一部に絞った。

残った顧客との太いパイプを作るために始めたのが、同社が「裏サービス」と呼ぶ、顧客の困りごとを解決するサービスだ。

ヤマグチでは、外回りの営業マンが一人あたり300世帯〜500世帯を担当し、家電製品などを販売している。

「裏サービス」では、担当する顧客から「ちょっと買い物してきてほしい」「2、3日家を空けるので、花に水をやってほしい」「部屋のタンスを少し動かしたい」といった、本業とは関係ない日常生活の困りごとを、無料で解決してあげるようにした。

「私が子どものころは、隣近所で味噌や醤油の貸し借りをするなど、近隣同士で困りごとを解決していました。いまはそうした習慣はなくなりましたが、『もし困りごとがあったら当社が解決しましょう』と、始めたのです。裏サービスを行うようになって20年になりますが、顧客も『この程度は頼んでいいかな』『これは悪いかな』と困りごとの内容を選んでいただけるので、裏サービスが本業に影響を与えることはありません」(山口社長) …

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