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進化を遂げる渋谷

100年に一度の再開発で渋谷の姿はこう変わる

今秋開業の「渋谷ストリーム」ほか、「渋谷代官山Rプロジェクト」「渋谷スクランブルスクエア」と、新たな複合施設の建設が進む渋谷。再開発を手がける東急電鉄に取材した。

再開発とともに成長する、レゴ製のジオラマ
「渋谷ヒカリエ」11階で展示中の、レゴブロックで作られた渋谷駅周辺のジオラマ。レゴ社認定のプロビルダー三井淳平氏と小学生57人が制作した。既存の建物はもちろん、「渋谷ストリーム」など建造中のものも。約10万個のブロックを用いた。写真は東急電鉄・渋谷まちづくり担当の亀田麻衣課長補佐と、同担当のドアン・レハイゴック氏

およそ100年を経て積み上がった渋谷の課題

渋谷駅が開業したのは、明治18年(1885年)のことだ。大規模化したのは、大正に入った1920年。改築された第二期の駅舎は半円形の大きな窓と時計塔が特徴だった。その後、昭和に至るまでに複数路線が乗り入れ、関東大震災や第二次大戦を経て、大きく賑わう街に。1964年には東京五輪開催の中心地にもなった。

長い歴史を持つだけに、課題も多い。現在、4社9路線が通っているが、乗り入れのたびに駅舎の増改築を繰り返してきたため、動線が複雑でバリアフリー対策も十分ではない。昨今、発生する突発的な豪雨、いわゆる「ゲリラ豪雨」の際に水を逃がす場所も必要だ。

駅の外に目を向けても、課題は山積している。まずはあらゆるスペースが不足していること。たとえばオフィス。東京のビジネス地区全体で空室率は下がっているが、渋谷区は群を抜いている。ビジネス地区の2018年1月の空室率は3.07%の一方、渋谷区は1.63%だった。渋谷はシェアオフィスが日本一多いが、せっかく起業しても、拡大にともなって床不足となり、区外に出て行かざるを得ない状況が発生しうる。

また、渋谷は、外国籍の旅行者が集まるスポットでもある。東京都産業労働局「国別外国人旅行者行動特性調査」の、旅行者が「訪問した場所」の中で、2015年度は、渋谷は5番めだったが、2016年度は4番めとなった。新宿・大久保、浅草、銀座に次ぐポジションだ。欧米豪地域からの旅行者はすべて1位だった。

しかし、宿泊施設が足りない。東急電鉄の亀田氏は「ホテルの客室数は現状では新宿の約5分の1」と言う。旅行者人気が高い渋谷では、夜の繁華街をめぐるのも楽しみの一つのはずだが、宿泊できないため、遅くまで滞在する人が少なくなってしまう。ビジネス目的の出張でも、ホテル需要を満たせていない。

渋谷区は東京23区の中でも狭いほうで、15番めの15.1平方キロメートルと小さいが、在住人口は22万4972人。同程度の広さの中野区や目黒区と比べると、前者の面積は15.6平方キロメートルで、在住人口は32万8636人。また、目黒区は面積14.7平方キロメートルで、在住人口は27万6804人いる。

しかし、昼間人口で見れば、渋谷区は52万698人で、中野区の28万9176人や目黒区の29万3382人を逆転する。渋谷区の昼間人口の内訳は、渋谷(1~4丁目)や道玄坂、宇田川町、桜丘、神南あたりに集中する。

この状況に別の側面から光を当てると、「渋谷」のイメージを持つエリアが、駅周辺に限られているという現象も伺える。渋谷区には代々木、千駄ヶ谷、神宮前、恵比寿、代官山も含むが、これらの昼間人口は、駅周辺よりは少ない。渋谷がもともと谷地形であったり、国道246号や明治通りなどで切り分けられていたりして回遊しづらいのだ …

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