一定の経験を積み、これからの飛躍が楽しみな35歳以下の若手販促キーパーソンを取材する当連載。第10回は、「ドコモショップ高知店」で働く池田大紀さん(26歳)。昨年、ドコモが主催した来店客への応対を披露する大会では、全国各地のドコモショップ店員が集う中、頂点に立った。人見知りだった青年が全国トップの販売スタッフになった理由とは。
四国・高知の店舗から全国スタッフの頂点に
NTTドコモは、携帯電話の新規契約や機種変更、故障の受付など、利用者をサポートする窓口として、全国に約2400店舗の「ドコモショップ」を展開している。
「ドコモショップ高知店」は、JR高知駅から東へ1キロメートルのところにあり、交通量の多い国道沿いに面している。ビジネスマンから地域の高齢者まで幅広い利用者が訪れ、現在は12人のスタッフが窓口業務に就く。その中の一人、池田大紀さんは4年めを迎えた若手社員だ。
ドコモ社内でいま、最も注目を集める販売スタッフでもある。そのきっかけとなったのは、昨年末、「ドコモショップスタッフ応対コンテスト マイスター・オブ・ザ・イヤー2017全国大会」でグランプリを受賞し、全国3万7000人の頂点に立ったことだ。
「全国9支社から代表を一人ずつ選出し、20分の制限時間の中でお客さま役の方に応対し、そのようすを審査する、というのが大まかな流れです。グランプリの発表を聞いた時は驚きというより、『よっし!』という感じでした。正直、自信があったんです(笑)。それまで高知大会、四国大会と経験しましたが、最後の全国の舞台での発表が一番手応えがありました」と池田さんは誇らしげに語る。
このコンテストは、NTTドコモが来店客に満足してもらえる接客をめざし、携帯電話やサービスの正確な知識に加え、要望に応じた最適な商品やサービスの提案など日頃の応対を披露するもの。今回で9回めとなり、池田さんは初めての参加だった。
「正直、自分では全く出場するつもりはなくて。父が入院していた時期で、それどころではなかったのですが、店長はじめ、『池田くんに出てほしい』という言葉をいただいたんです。そこまで言っていただけるならやってみようかなと。結果的に親孝行できました」と笑う。
1人ひとりに応じた“自分流” 失敗から学んだ接客術
全国大会の審査には、NTTドコモの吉澤和弘社長をはじめ、前年度開催時に支社代表として同じ舞台に立った販売スタッフも参加する。上層部と現場のスタッフという2つの視点から評価するためだ。池田さんのグランプリ受賞は、「自然な会話の中から来店客のニーズを引き出し、本人だけでなく家族を含めたトータルの価値を効果的に提案できていた点」などが評価された結果だという。
池田さん自身は「"自分流"の応対を全国の場でも貫けたからでしょうか」と振り返る。その"自分流"とは、マニュアルにとらわれず、地元の土佐弁のイントネーションも隠さず、ふだん通りの言葉での接客を指す。決してコンテストのために考えられたものではなく、日々の業務の積み重ねから生まれたものだった …