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松本山雅FC 「緑化計画」でホームをチーム色に染める

松本山雅FC

2015年に前身となったクラブから数えて、創設50周年を迎えた松本山雅フットボールクラブ。J2の地方クラブでありながら、2013年以降は平均観客数1万人以上を維持しつづけている。安定した集客をもたらしているのは、クラブの成長を「自分ごと」として支える人々との絆だ。

松本市と安曇野市、山形村、塩尻市、大町市、池田町の6市町村をホームタウンとする松本山雅FC。Jリーグの中でも熱いサポーターとして知られる。 (C)松本山雅FC

新たなファンをつかむため情報発信の方法を模索

長野県松本市、アルウィン(長野県松本平広域公園総合球技場)をホームスタジアムとする松本山雅(やまが)フットボールクラブ(FC)は、北信越リーグからJFL(ジャパンフットボールリーグ)を経て2012シーズンにJリーグ加盟を果たした。

JFL時代の2011シーズンには、リーグの平均年間入場者数記録となる7461人を集めた。Jリーグ昇格後、2013シーズン以降の平均観客数は1万人を超えており、着実に集客を伸ばしてきた。J1に昇格した2015シーズンの平均観客数は、スタジアム収容率80%超えとなる1万6824人を記録している。

J1再昇格を目指した2017シーズンも、平均1万人超えは維持したものの、前年比では微減。クラブを運営する松本山雅の取締役副社長で事業本部本部長を務める上條友也氏は「これまで基本的に右肩上がりが続いてきたが、踊り場的なシーズンになった」と振り返る。

課題は新規顧客の獲得だ。Jリーグの調査でも、総入場者に対して昨シーズン初めて観戦したという人の割合は2.6%しかなく、これは前シーズンと比べても非常に低い結果だ。サポーターのコア化が進む一方、新たな顧客の獲得ができていないことはリーグ全体の課題でもある。

観戦経験のない人に向けた情報発信は、来場のきっかけづくりとしても重要だ。松本山雅FCのホームタウンは松本市をはじめ、安曇野市、山形村、塩尻市、大町市、池田町の6市町村。このエリアでのポスターやのぼりの掲出頻度は多く「おそらくほかのJリーグクラブと比較しても露出は高いと思う」(上條氏)

ポスターやのぼりといったサイズの小さいものは目立つものの、規模の大きい広告に関してはホームタウンに掲出場所は少なく、クラブとしてもこれまでそういった場所への広告を出していなかった。そこで2017シーズンは、より多くの人へのリーチを目指し、サイズの大きな広告を利用した試合日程の告知を実施。掲出場所については各スポンサー企業に協力をお願いするなど、場所づくりから行った。

情報発信はWebサイトやソーシャルメディアでも随時行われているが、その情報は、サポーターなど能動的に受け取る意志のある人にしか届かない傾向が強い。「昨年は試験的に、ネットも見ない、スマートフォンも使っていないような層をターゲットに、ホームタウンのスーパーマーケットの店頭で2万枚のチラシを配布しました」(上條氏)

配布したのは、8月に開催した試合を対象に、持参すると来場時に特典があるチラシ。スポンサーでもあるスーパーマーケットチェーン「デリシア」などに協力をお願いした。結果、122人がチラシを持って来場した。

上條氏は「人数の評価はいろいろあるが、明らかに初めての人に観戦してもらえた。この人たちがまた来てくれるようになれば狙い通り。インターネットやソーシャルメディアは知っている人にアプローチするには効率的かもしれませんが、全く接点のない人には不向き。先入観を持たず、本当に届けたい人に届くかを考えながら、試行錯誤を重ねたい」と話す。

サポーターの力を借りたプラスワン!キャンペーン

より強く観戦動機を刺激する策として、2017シーズンには既存サポーターの力を借りた「プラスワン!キャンペーン」を実施した。

約9000人いるシーズンパスの所有者のうち、小中高生を除いた約8000人を対象に、持参すれば無料で観戦できる招待ハガキを送付。観戦習慣のある人がひとりでも連れて来場すれば、それだけで集客は倍になる。「プラスワンの呼びかけ自体は数年前から行っていましたが、これを具体的な施策として落としこんだのは初めてでした」(上條氏)

無料招待券はチケットの価値を落とすことにもつながるため、本来であれば避けたい施策ではあったが、新規顧客獲得のためのトライアルとして実施。当日は2652人の新規観戦者が来場した …

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