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部下と上司の「販促入門」

4つのシナリオで未来を予測 AI時代に求められる人材評価

野村総合研究所 岸 浩稔氏

小売の人材不足が深刻化している中、人材の維持・確保を継続的に行っていくために、企業としてどのような人事評価を設ければいいのか。また適切な測定基準とはどのようなものか。野村総合研究所の岸浩稔氏に「小売りの未来像」を描きつつ、そのヒントを探ってもらった。

49%の仕事がなくなるAI時代

野村総合研究所(NRI)は、英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授およびカール・ベネディクト・フレイ博士との共同研究により、10年~20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業において、技術的に代替できるとの推計結果を得ました。

本研究報告をひとつの契機に、昨今では働き方改革の風潮も相まって、AI・ロボットを活用した働き方についての議論が熱を帯びています。こと小売業界では人手不足が深刻化し、自動化の取り組みが先んじて進んでいる領域です。本稿では、迫りくるAI時代における人材評価のあり方について、NRIの研究チームの議論と仮説を紹介します。

未来の小売の姿

研究チームでは、AI・ロボット、外国人労働者、小売業界の各界から専門家を迎え、未来の小売業界の姿について議論を深めています。議論にはシナリオプランニングという不確実な未来を予測する手法を用い、未来の小売業界に大きな影響を及ぼしうる2つの独立した事象(ドライビングフォースと呼びます)を仮定し、それぞれが起きた、起きなかった場合の組み合わせについて4つのシナリオで未来を予測しています。

下の図1にドライビングフォース、その下の図2にその組み合わせによる未来予測の結果を示しました。

    図1-1 小売事業者の販売戦略におけるドライビングフォース

    モノだけを売る

  • 如何に安く仕入れるかが求められる
  • 単店での薄利多売モデル
  • 薄利多売で回転率を追求する
  • 店舗での購買データによる経営
  • モノ以外も売る

  • 販売以外のサービス売り上げ(会員費、アフターサポート費等)を追求する
  • クロスセルによる客単価向上
  • なぜそれを仕入れるかのストーリーが求められる
  • 店舗以外の行動データによる経営

    図1-2 消費者の受容性におけるドライビングフォース

    自動化を受け入れる

  • 必ずしも店員と話したくない
  • 人による接客が価値を生まない
  • 技術導入・データ分析が店舗運営の要
  • 人を求める

  • 店員と話したくて店に行く
  • 人による接客が価値を生んでいる
  • 人材採用・マネジメントが店舗運営の要 …
あと65%

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