実店舗が「商品を売る場所」としてだけでなく、「顧客との関係を構築する場所」としての側面を強める中、売り場に立つ店員に対して、これまでとは違う評価軸が求められるようになった。具体的にはどのような評価軸を設けるべきか。Emotion Techの須藤勇人氏が解説する。
「売り上げ」だけではなく、「信頼」が求められる時代へ
これまで人事評価は、「いくら売り上げたか」「どの程度目標を達成したか」のように、売り上げへの貢献や目標達成の度合いによってなされるのが一般的でした。しかし、Eコマース(EC)の発展に伴い、実店舗が、「商品を売る場所」としてだけではなく、「商品をアピールし、顧客との関係を構築する場所」へと変化すると、単純に売り上げだけで評価をすることがむずかしくなってきました。
さらに、人材不足が深刻化する現代においては、所属人員のモチベーションを高く保ち、個々の力を十分に発揮できる組織が求められています。そうした売り上げ貢献度だけでは従業員を評価できなくなった組織がいま、顧客からの評価と従業員からの評価によって組織の状態を明らかにしようとする動きが盛んになっています。
EC化・実店舗のショールーム化が進んだ現在、短期的かつ単体での売り上げ評価がむずかしくなり、改めて「良い組織とは何か、どの組織を評価すべきか」を定義しようとする議論が活発になっています。
その一つの解と言えるのが、「顧客から信頼を得られる組織」です。国内需要が縮小し、顧客獲得がむずかしくなる中、「目の前の顧客と、良い関係を構築できている組織」こそ理想的な組織であり、「顧客からの信頼を、どれくらい得られたかで評価すべきである」と考えられています。
そしてもう一つは、「従業員から信頼を得られる組織」です。労働人口の減少とともに、人材不足が深刻化する現代においては、離職を防止し、少ない人数で乗り切るためのモチベーション・生産性の向上が喫緊の課題となっています。そこで、「従業員のモチベーションが高くなっているか、いまの職場で働きたいという意思を形成できているか」を計測し、従業員から厚い信頼を得ている組織を評価する動きが盛んになっています。
また、従業員評価が高い組織は顧客評価が高まり、両方の評価が高くなると売り上げ向上につながることが、国内企業の事例からわかってきています。
顧客評価と従業員評価を正しく計測するための要点
自社組織が、顧客・従業員から信頼されているかを計測するためには、直接質問してみることが何よりの近道です。ただし、正しく評価を得るためには、その質問方法にポイントがあります …