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トップの現場力

目指すは「サービスのコンビニ」経営課題の答えは「現場」にある

ミニット・アジア・パシフィック

靴修理をはじめとするサービスを国内外で展開する「ミスターミニット」。同チェーンを運営するミニット・アジア・パシフィック社で社長を務めるのは、現在32歳の迫俊亮氏だ。29歳で社長に就任し、大胆な社内改革を実施。その過程で最も重視したのが「現場の声」だったという。

ミニット・アジア・パシフィック
代表取締役社長 CEO
迫 俊亮(さこ・しゅんすけ)氏

1985年、福岡県生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校社会学部を卒業後、三菱商事に入社。その後、ベンチャー企業のマザーハウスに転じ、同社の創業期を支えながらアジアにおける事業確立などでも成果を上げる。2013年にミニット・アジア・パシフィック入社。

苦戦を強いられていた東南アジア・中国エリアの事業建て直しを担い、これを成功へと導くと、経営企画部長兼海外事業統括部長として、同社の営業およびマーケティング分野の再構築に着手。

2014年1月には常務執行役員営業本部長に就任し、3カ月後の4月に代表取締役社長兼営業本部長に就任した。世界経済フォーラム(ダヴォス会議)Global Shapersにおいて「日本の若手を代表するリーダー」として選出もされている。

—迫社長は若くして社長に就任しましたが、入社して社長に就くまでの経緯を教えてください。

ミスターミニットに入社する以前は、発展途上国におけるアパレル製品や雑貨の製造・販売などを行う日本企業であるマザーハウスに5年間勤めていました。「途上国から世界に通用するブランドを作る」という目標を掲げ、大きく成長していたのですが、私は「もっとできるはず」という思いを抱えていました。

経営陣のビジネスモデルに間違いはなく、よりスピーディーな成長ができるはずなのに、なかなかそうはならない。「自分が最良のやり方を見出せていないからではないか」と思い、「より経営に近い立場で働きたい」と考えるようになったんです。

そこで、知人を介してユニゾン・キャピタルを紹介され、当時ユニゾンが買収したばかりだったミスターミニットに入社しました。当然ながら、経営経験のない私がいきなり経営に携わることはむずかしく、「がんばっていれば、3年後か4年後ぐらいに幹部クラスくらいにはなれるのではないか」と入社面接時に言われていました。そして最初に担当した海外での実績が認められて、経営企画部長として日本支社に戻され、再建を託されたんです。

ただ日本の状況はひどかった。とくに経営陣と現場との分断はすさまじく、経営側は「我々の計画を実行できない現場はバカだ」と言う一方で、現場は「また経営陣がよくわからないことを言ってきた」と反発する。そうした状況を目の当たりにしたわけです。会社を本質的に改善しようとするなら、経営者でなければ立ち入れない領域が多い。もっと言うと「会社としてのカルチャーや価値観から変えないといけない」と思い、社長に立候補をしたんです。

サービスを提供している業態では「人」によって売上が2~3倍変わる

―海外ではどのような実績を積まれたんですか。

「現場とは基本的に『人』だと思っている」と話す迫社長。だからこそ何よりも「人」を重視する。

入社直後は海外事業マネージャーというポジションで、主に海外の店舗を見ていました。とくにシンガポールやマレーシアの店舗は赤字が拡大しており、「閉店しよう」という話が出ていました。それでも何事も現場を見てみないことにはわからない。「一日だけ行かせてほしい」と直訴し、当時滞在していたオーストラリアから一泊二日の弾丸視察を行いました。

実際に現地を回ってみると、店内は汚く、店員がチャーハンを食べている状況で、たしかにひどかった。「店内でチャーハンを食べるな」と言えば、次の日は焼きそばを食べるというありさまです。とはいえ、「なんとかなるかもしれない」とも思いました。全然うまくいっていなかったんですが、うまくいっていない理由が明確だったからです。

つまり、従業員にとって売り上げを伸ばす、もしくはよりよいサービスを提供するメリットがなかったということ。いくら努力して売り上げをアップさせても給料は変わらない。それではがんばるわけありませんよね。だからまずは、社員がやる気を出せる人事制度を作ることに注力しました …

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