2017年も全国各地で行われていた百貨店主催の季節イベント。「体験価値」が重視されるようになり、消費者との関係性を深化させるさまざまなイベントが開催されていた。
【春】
エイプリルフールに掛けた規格外の商品で話題化「エイプリルフールフェア」
大丸東京店は、エイプリルフール当日の4月1日から4日にかけて、「ウソみたいな大きさ、量、金額」の商品を20点以上集めた「エイプリルフールフェア」を開催。通常の2.5倍の大きさがあるギガ肉まんや、長さ60センチメートルの巨大な箸、メロンが3分の2入った1万円のフルーツパフェなど、規格外の商品を提供し、シーズンネタに掛けた話題でソーシャルメディアでの拡散による集客を図った。
イベントは、大丸のキャラクター「デッチー」を活用し、「東京店に異動してきたデッチーが4月の販促担当になり、おもしろ企画を実施する」というストーリー仕立てに。店頭でデッチー人形にのぼりを持たせて訴求すると、足を止める人も多かったという。テレビ取材も入ったことで客足が伸び、ショップでも新規客の獲得や接客のフックになった。
イベントに対する来店客の反応は大きく、ギガ肉まんは約100個販売、高額の特大アップルパイや特大いちご大福も日によっては完売。巨大箸(5万4000円)もテレビを見た来店客が飲食店のディスプレイ用にと購入していった。
「さくらパンダ」10周年で店舗をジャック
松坂屋上野店は、大丸・松坂屋のオリジナルキャラクター「さくらパンダ」が誕生10周年を迎えることを記念して、3月15日~4月4日の3週間にわたり店舗全体で「さくらパンダ」をモチーフとしたさまざまな企画を開催した。期間中は「茶寮 銀座清月堂」が「さくらパンダカフェ」に。そのほかの飲食店や和洋菓子売り場でも「さくらパンダ」の限定商品が提供されたほか、ピンバッチ10種類のガチャガチャ販売なども行われた。
遊びを通じ学べるイベント
京王百貨店新宿店は5月4日、売り手も買い手も子どもだけの「MOTTAINAIキッズフリーマーケット」を開催した。リサイクルや経済について興味を持つきっかけになるとして、参加者は子どもだけで611人、保護者を含めると約2000人の集客となった。ゴールデンウィーク期間中の同店の売り上げは前年比10%増に。これまで接点の薄かった30歳代の夫婦が訪れるなど成果が上がったことから、11月にも実施した。
自然の中でビールを堪能
4月28日~5月7日、東急プラザ表参道原宿の6階屋上テラス「おもはらの森」に、「OMOHARA BEER FOREST by YONA YONA BEER WORKS」がオープン。ヤッホーブルーイングの人気クラフトビールやオリジナルビアカクテルを提供した。パイントでの販売がヤード・ポンド法に慣れた国の人から好評。結果、予約数は前年比200%だったが、売り上げは前年比101%にとどまった。
【夏】
「VOGUE LOUNGE GINZA SIX」開催で施設のブランディングに寄与
東京・銀座の複合商業施設「GINZA SIX」は、7月28日~10月29日の約3カ月間、屋上庭園にて「VOGUE LOUNGE GINZA SIX」をオープンした。ファッション誌『VOGUE』の日本版『VOGUE JAPAN』(コンデナスト・ジャパン発行)が国内で初めて手がけたレストラン。『VOGUE』のモダンでスタイリッシュな世界観やターゲットが、GINZA SIXのブランディングや見込み顧客の集客における相乗効果を見込み、開催に至ったという。
オープニングセレモニーには多くの著名人やVOGUE関係者が参加し、ソーシャルメディアなどを通して話題になった。開催期間中は、VOGUE LOUNGE利用前後の館内買い回りによる商業施設全体の売り上げにも大きく寄与。来店時の写真がソーシャルメディアにも投稿され、施設として「おしゃれな時間を過ごせる場所」という期待どおりのイメージを広げられたという。
2017年も好調「GINZAの百傘会」
松屋銀座は、半世紀以上続く梅雨時期のイベントとして、「GINZAの百傘会」を2017年も6月7日から30日まで開催。2017年のテーマは、「ダンシング イン ザ レイン」で、会期中は「DJライブ」や「傘の製作実演」などを実施した。百傘会の売り上げは前年比150%と、売り場面積が拡大したことも売り上げ増に寄与していて、好調に推移しているという …