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ヒットの仕掛け人

おいしさと機能を両輪で訴求 発売2年めを見据えた戦略

アサヒ飲料/「カラダカルピス」

「カラダカルピス」は、2017年4月に発売後、3カ月で出荷量が年間目標の60%に達した。その後、目標を上方修正するほど売り上げは好調に推移。発売直後から、現在までに安定的な出荷を維持している背景にはどのような戦略があり、プロモーションがなされていたのか。ヒットの仕掛け人に取材した。

甘ずっぱい「カルピスウォーター」とは異なり、少し意外性のある印象の、"体脂肪を減らす"とうたう「カラダカルピス」。同商品の販売戦略を担当するアサヒ飲料の佐々木健氏は、「商品そのものの認知と、機能面の認知を両立して獲得することに注力した」と語る。単に説明しただけでは消費者になかなか理解してもらいにくい機能性を、しっかり定着させるために行った施策とは。

アサヒ飲料
マーケティング本部 マーケティング二部課長
佐々木 健 氏

―2017年4月に発売されてから、半年以上が経ちました。現時点での反響や開発に至るまでの背景について教えてください。

「カラダカルピス」は2017年に、全社で重点的に取り組むべき商品という位置づけでした。販売数量(出荷ベース)の年間目標が150万ケースのところ、発売3カ月でその60%にあたる90万ケースを売り上げました。それ以降も各チャネルで販促施策を行いながら、出荷量を安定的に維持しています。現在は年間目標を200万ケースに上方修正し、それに向けてプロモーションを行っているところです。

もともと「カルピス」における乳酸菌の研究は何十年も前から行っていました。「カラダカルピス」に含まれる、「体脂肪を減らす乳酸菌」の研究が始まったのは、メタボリックシンドロームが社会問題として取り上げられ始めた十数年前のこと。カルピス社がアサヒグループ化する以前からです。

またアサヒ飲料も、とくに近年は健康に強みを持つ企業だと世の中に発信しています。体脂肪ケアのための商品は市場としても大きく、そこで売られている商品は売り上げ規模も大きい。乳酸菌が関与成分になっている商品はまだなかったため、それが実現できれば商品の独自性が訴求できるという点で、当社としてはチャンスでもありました。

世界的に見れば同様の研究をしている企業はほかにもあるそうですが、安定的に効果を出すことがむずかしいんです。当社も、その課題をクリアして発売にこぎつけるまでには長い時間がかかりました。

―発売直後からヒットに至った要因は、どのように分析していますか。

最近、世の中では乳酸菌を使った商品の人気が高く、お客さまの間でも乳酸菌は積極的に取り入れたい健康成分だと考えられている傾向が見られます。そのため、やはり乳酸菌が関与成分である「カラダカルピス」の独自性は、ヒット要因の一つだと思います。

また、なじみのある「カルピス」のイメージから、「カルピス」で体脂肪対策ができるという意外性に対する驚きや新鮮さもあると思います。ヒットの要因として何か一つを挙げるのはむずかしいですが、乳酸菌はもとより、「カルピス」ブランドだからこそ成功したのではという思いもあります。

―発売直後の売り上げを維持するために、どのようなプロモーションをしていますか。

主要な販売先としてはコンビニエンスストアと、スーパーマーケット・ドラッグストアがあるのですが、コンビニでは、ポイント施策を中心に実施しつつ、先方のフェアにエントリーするなどして、トライアルの獲得やリピートを促進するようにしています。

スーパーマーケットやドラッグストアでは主に試飲販売を実施しました。店頭にスタッフが立ち、来店したお客さまに飲んでいただくという、一般的な施策ではありますが、それを長期にわたって大規模に行っています。数で言うと、発売直後の4月~5月は全国で約1200店舗、その後も6月~8月・秋以降と継続的に実施しています。現在までの実施店舗数を合計すると、のべ3000店舗以上となり、当社の過去新商品でもあまり類を見ない規模です …

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