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大きく変わる2018!販促を読み解く

「接客の専門職化」でネット販売と共存 満足感を持って帰ることを接客のゴールに

平山枝美氏(接客アドバイザー)

消費者の消費動向の変化によりEコマースが盛況となり、ここ数年店舗の存続危機が叫ばれている。しかし一方では店舗で買い物をしたいという層も一定数いる。その際に重要なのが接客だ。接客アドバイザーを務める平山枝美氏に「リアル店舗の強みを生かす接客術」を聞いた。

接客をする際に重要なのは「販売員はお客さまの問題を解決するためにいる」と自覚すること。

販売員に「接客とはなんですか?」と聞くと「お客さまの生活を豊かにすること」という答えが返ってきます。しかし、これを体現できている販売員はわずかでしょう。「お客さまのため」と言いつつも極度の売り上げ主義や「生活を豊かにすること」を具体的な行動に落とせていないのが原因です。

近年、Eコマースが盛況です。そのことは売り場にとって脅威としてとらえられています。しかし、本来の接客の目的に立ち返れば怖いことは一つもありません。むしろ、ネットとの共存を見据え、お客さまに使い分けていただくことを考えましょう。今回は、接客に求められている目的と、そのために何をするか。接客にしかできないことは何かを考え、明日からの行動に生かせることを提示していきます。

処方せんを出すまでが接客

販売員は、「商品のお医者さんである」というのは誰しも聞いたことがあるでしょう。カゼで病院へ行った時、医師から「どうしたの?」と聞かれ、「のどが痛くて」などと症状を話し、それに合わせて薬をもらい、さらには「食事は消化にいいもので」など生活についてのアドバイスをもらって帰る、という一連の流れがあります。では、服の接客に置き換えてみましょう。

お客さまが「出産したばかりで体型が変わってしまって」などと悩みを打ち明けると、販売員がそれに合わせて商品のコーディネートのしかたや、袖を折るなどの着こなし方を伝えます。これは、医師における「症状に合わせてアドバイスする」と同じです。

また、着方だけを伝えても、手持ちの服だけではお客さまが「体型が変わってしまって何を着たらいいか」という悩みの直接的な解決にはつながりません。医師が頭痛のために鎮痛剤を出すのと一緒で、販売員もコーディネートという処方せんを出す、これでお客さまの症状を解決するのです。

一方、売り場の多くで、その場しのぎで対応してしまっていることが、問題になっています。サイズを聞かれれば、合っていなくても「大丈夫です」と答え、コーディネートもお客さまに合わせるのではなく売れ筋同士を合わせてしまう、販売員目線の現状があります。これは、薬剤師の免許を持たない人から、適当に売れ筋の薬を渡されるのと同じでしょう。

知識や経験がなくても素人でもできてしまいますし、そのような接客を続けていれば、販売員自身もどのような接客を目指すべきかわからなくなってしまいます。医師が患者さんの症状を解決するために病気のことを学ぶのと一緒で、販売員もお客さまの問題解決のための知識を学ぶ必要があります。また、お客さまが悩みを語りやすくなる会話術や、お客さまの生活背景など幅広い知識を得ることが必要です。

薬も、服と同様に一部の商品をネットで購入できます。それでも患者は病院へ行きます。服もネットで買えますが、患者を診るようにお客さまを診ることができれば、販売員も必要とされるのではないでしょうか。そのためにいちばん大切なのは、「販売員はお客さまの問題を解決するためにいる」と自覚すること、またそのことが「生活を豊かにすること」だと理解し、体現することなのです。

接客の流れとそれぞれの意味を理解しよう

接客目標に「ニーズの把握が大切だから、お客さまにどんどん質問するようにしよう」という人がいます。もちろん間違ってはいないのですが、質問が目的になっていないか注意が必要です。というのも、接客はやっぱり商品提案が最も大事で、そのために接客の流れがあるからです。どのようなことか、説明していきましょう。

接客には5つのステップがあります。最初は動的待機。お客さまが店を覗いた時に入りやすいのは活気のあるお店です。その雰囲気を演出するために、商品を畳み、売り場をメンテンスしつつ待機の姿勢をとります。

次はファーストアプローチ。入りやすくなって来店したところで、お客さまに話しかけます。心が開きやすくすることを目的に、ファーストアプローチを工夫します。お客さまが話してみようかな、という空気を出したところで、ニーズの把握。お客さまの要望などを引き出します。この時相手に興味を持って質問をすることでお客さまは販売員のことを「この人は信頼できる」と感じることができます。

お客さまの要望をもとに、おすすめの商品を選び、提案し、最後に販売員からクロージング(最後のひと押し)を行います。この時に十分な信頼感がなければお客さまは販売員の話を聞いてくれませんし、最後のひと押しで「この人の言うことなら問題ない、あなたから買いたい」になるのです。つまり、満足度の高い商品提案をするために、接客ではそれぞれの過程があります。

このことを理解していないために、接客は精神論で語られがちです。売れないのは、「お客さまへの感謝の気持ちが足りない」「気合が足りない」など、まるで「その場のノリが大切」と言っているようなものです。そうではなく、売り上げが悪い販売員に対してはそれぞれの接客の流れでどこが弱いのかを分析し、改善することが求められます …

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