ロクシタンは、南仏発の化粧品ブランドだ。日本では100店舗以上を展開している。ロクシタンジャポンでは、店舗販売だけでなくEコマース、さらにはホテルアメニティをはじめとしたホールセール事業やカフェ事業なども手がける同社では、データは重要な資産と位置づけている。
オムニチャネルカスタマーをどうすれば育成できるか
データ基盤づくりが始まったのは、2015年の10月のことだった。それまでの蓄積もあったが、システムを国内のものでなく、グローバルで活用しているものへ移行。この旗振り役となったのが、ロクシタンジャポン、デジタルマーケティング部部長の吉屋智章氏だ。
同氏は国内家電メーカーなどを経て、2014年9月にロクシタンジャポンへ入社した。システム統合やデータ移管などを進めつつ、組織づくりも行った。
当初は店舗のレジとECシステムは別々に分かれていたという。デジタルマーケティングと言えば、Eコマースを指していたが、CRM(顧客関係マネジメント)や、プロモーション、カスタマーサービスからもスタッフを集め、一元的にデジタル関連の事業や施策を推進できるようにした。
「店舗の顧客とEコマースの顧客の情報を統合した結果、EC側のデータベースにEメールや住所などの情報があり、ターゲティングできるお客さまは、(店舗でもECでも)購入頻度も単価も上であることがまずわかった。そうした『オムニチャネルカスタマー』を育てることが重要だというふうに目星がついた」
初めに購入した商品は何か、次に買ったものは何か──再購入は6カ月以内にないと、その後の確率がぐっと下がる──などという特徴が見えてきた結果、取るべき施策も具体化する。
「例えば、オンラインでサンプルを希望したがその後購入していない人に対して一定期間後にメールを自動的に送るということをしている ...