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話題のプロモーション 企画書を大公開

若者の酒離れを食い止める 氷結×ICEBOXで若者の本能を刺激

キリンビール「氷結(R)専用ICEBOX[トリプルミックス]当たる!キャンペーン」

キリンビール「氷結」と森永製菓「ICEBOX」がコラボレーションした「氷結×ICEBOX」の飲み方提案が好評だ。昨年から連続でキャンペーンを実施し、ことしは「氷結(R)専用ICEBOX[トリプルミックス]当たる!キャンペーン」を開催。2大メーカーが相乗効果を発揮して大きな反響を呼んだ同キャンペーン実現の経緯とは。

(左)電通 第3営業局 プランナー 粥川佑菜氏
(中央)キリンビール マーケティング本部 マーケティング部 スピリッツ・リキュールカテゴリー戦略担当 小嶋梨沙氏
(右)電通 プロモーション・プランニング局 プランナー 野上賢悟氏

20歳代を虜にする三種の神器は再発見感・シェア性・手軽さ

キリンは2016年6月〜8月にかけ、森永製菓が開発した「氷結専用ICEBOX」が抽選で1万人に当たるキャンペーンを実施した。対象商品に貼られたシールを集めて応募できる。「氷結専用ICEBOX」は、「氷結」を注いで飲むのに最適なフレーバーとして「ライム味」を採用したオリジナル製品で、一般販売はしていない。「氷結」のキーカラーに合わせた、青みがかった氷が特徴だった。

「氷結専用ICEBOX」キャンペーンの目的は若年層の新規客を獲得すること。キリンが電通と共同で考案し、森永製菓に提案した。今回のキャンペーンのターゲットは20歳代。20歳代で飲酒習慣(週に3回以上飲酒し、飲酒日1日に1合=約180ミリリットル以上飲む)があると答える人は2007年の13.0%から2016年は7.1%へと減少(厚労省・国民健康・栄養調査)。いわゆる「酒離れ」が見られる。

飲酒習慣のない人が「氷結」を試したくなるきっかけは何か。キリンビールの小嶋梨沙氏は同世代が「試してみたい」と思う条件として再発見感・シェア性・手軽さの3つを掲げ、戦略を練ったという。

「氷結」の認知度は十分に高く、いま「氷結」を飲んでいない人でも、商品自体は知っている可能性が高い。「氷結」の良さを改めて認識する呼び水となるものが必要だ。それが「再発見」のための要素だった。

そこで白羽の矢が立ったのが「ICEBOXに氷結を注ぐ飲み方」だ。これは以前より一部の消費者の間で親しまれてきたもの。

「2016年夏のキャンペーン考案時に電通さんから初めて『氷結ICEBOX』の提案をいただいた時は、正直なところ再発見にはならないのではないか、という懸念もありました。メーカーの人間からすると、この飲み方はすでに知られたものという認識だったからです。しかし、今回のターゲットは、『飲用習慣のない20歳代』。もしかすると、知らない人のほうが多いかもしれないし、この飲み方が“遊び”のようにつながり、お酒に対するハードルも下げるのではと考え、採用に至りました」(キリンビールの小嶋氏)

「ICEBOX」は1989年発売のロングセラーブランドで、「氷結」発売の2001年より前から、サイダーなどの清涼飲料水を注いでいた人も存在した。「お酒を飲まない人でも、それなら試したことがある可能性があります。その記憶がよみがえれば、『氷結』でもやってみたくなるのではないか、と考えました。それが再発見につながるのではと考えたんです」(同)

「手軽さ」では、どちらの商品もコンビニエンスストアなど生活導線上の店で買えるのも大きかった。ソーシャルメディア映えするような追加の手間を加えることも検討したが、「手軽さ」を担保するためにシンプルにな飲み方にすることにも気を付けた。

また、「シェア性」では、「昨今のキャンペーンでよく見かける『Instagram』への写真投稿などを条件にしないことで体験したくなるモチベーションを作りました」とキリンビールの小嶋氏は話す。「『写真を投稿してください』『シェアしてください』と言われると、特に若い方はシェアしたくなくなってしまいますので、強制ではなく自らシェアしたくなるような仕掛けになるようにしました」

応募者数ではなく体験者数を増やす

さらにICEBOX以外のアイスとのコラボも検討したものの、選択肢が増えるほどユーザーの手間も増える。「選ぶ作業は自由な反面、負担にもなりやすい。手軽さを維持するため、もともと人気でポテンシャルのあるICEBOX一本に絞ることにしました」(電通の粥川佑菜氏)

ソーシャルメディアあるいは実際に誰かが試しているのを見れば、「自分もやってみようか」という気持ちも生まれやすい。起爆剤は、お笑い芸人の井上裕介氏(NON STYLE)と斎藤司氏(トレンディエンジェル)を起用したWeb動画。2人のコンビ名にかけ、「トレンディスタイル」というユニットを結成し、ラップ調の楽曲を制作。さらにWebメディアなどとのタイアップ記事で話題の広まりを後押しした。

結果、キャンペーン告知の広告を出稿していなかったものの、「氷結専用ICEBOX」が当たるクローズド懸賞の当選者数1万人に対し、約160万件の応募があった ...

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