暮らしのあり方が多様化したいま、各エリアやチェーン、個店が抱える消費者の特性に添ったプロモーションの重要性がますます高まっている。カルビー完全子会社で販促物制作・販売を手がけるカルネコ(東京・千代田)は8月1日、店鋪ごとのニーズに則した販促物の最適化を図るためのセミナーを開催した。

カルネコの加藤孝一代表取締役社長。平日の午後に100人を超える人が集まった
オーダーにどれだけ応えられるかが提案力のカギ
第一部で紹介されたのは、サントリーの缶チューハイ「−196℃ストロングゼロ」の事例だ。同商品はことし5月、全国スーパー60〜70チェーンを対象に、エリアごとに表現を変えた店頭ツールを制作・展開した。
かねてより実施する「食」との相性の良さを強く押し出すプロモーションの一環。福岡向けには「モツ鍋」や「明太子」、青森は「イカ焼き」など、いわゆる「ご当地グルメ」が登場する。料理の写真部分のみを差し替えるシステムを用い、制作にかかるコストの削減を図った。
A4ポスター、短冊、トップボード(中型)、精肉や惣菜売り場に置く什器などを用意し、各エリアやチェーンの売りたい食材と合わせた売り場を展開。食材との同時購入を促した。フィールド営業対象の店舗の約6割で売り場を立ち上げたという。惣菜やデリカの部門とも組み、酒類カテゴリー以外の販促枠も獲得した。「−196℃ストロングゼロ」合計売上高は前年同月比で4月が117%、5月は125%という成績を残した。
缶チューハイが属すRTD(Ready To Drink)市場のことし1月〜6月は前年比111%と順調に推移するが、商品数も多く、移り変わりも早い。「営業としても、モノを言うのは提案力。エリアやチェーンによって異なる要望に応えることが、そのカギとなりました」(サントリー酒類の黒川郷氏)
サントリーのような「チェーン×エリア」施策について、カルネコの加藤孝一社長は、「さらに“週”といった時間軸も合わせると、リアルタイムに、消費者の実態に添った店頭販促を展開できる」と解説する。
たとえばカルビーのスナック菓子「サッポロポテト」で、野菜が不足した時期に合わせ、同商品に「野菜を補うおいしいスナック」というPOPを添えて野菜売り場に置いたところ、子どもに野菜を食べさせたい母親に響き、1店鋪で、5日間で260ケース(1ケース=12袋)を売り上げたという。
「こうした細かなニーズをすくい取ろうとしてもツール制作コストの面で難しかったが、カルネコは受注生産で1枚から発注できる。ロスを出さずに、やりたいときにやりたいプロモーションが規模に関係なくできるようになる」(加藤社長)
最後にカゴメの安藤康洋氏が登壇。本誌編集長の小林圭輔とともに店頭販促ツールの活用について対談した。
カゴメもカルネコのツールオンデマンド制作を活用する1社だ。主力の「カゴメトマトジュース」では、機能性表示食品であることを前面に出すべく、各店鋪に見合う販促物を準備。大きな特設売り場にはペットボトル型のビッグダミーを、定番棚向けには省スペースの仕切り版を作成するなど、売り場の規模に合わせてさまざまなパターンを用意した。
「必要に応じて発注できるため、テストもしやすい。今後は店頭でスプリットテスト(A/Bテスト)を行いながらより最適なプロモーションを行っていく予定」(カゴメ東京支社の安藤康洋氏)
販促ツールは商談時に提示できるよう早期に作成することで、得意先の説得にもつながったという。

サントリー酒類
スピリッツ営業部 黒川郷氏

カゴメ
東京支社 営業企画課 安藤康洋氏
お問い合わせ
カルネコ株式会社 カスタマーサポート・センター
TEL.03-5220-6234
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