訪日外国人が増え続けるなか、多くの店舗がその対応に注力しているが、外国人目線で考えてみると、どの程度対応できていると言えるのか。6~7年日本で暮らしている中国、ボリビア、ウガンダ出身者たちに、「ショッピングで不便に感じること」についての本音を聞いてみた。
不便を感じるのはどんなところ?外国人たちのリアルな本音
──それぞれ簡単に自己紹介をお願いします。
シン▶私は中国から日本に来て、ことしで6年になります。中国の大学を卒業した後、日本の大学院に進学しました。それから2年前に日本の企業に就職して、現在は人事を担当しています。
エリック▶僕は南米のボリビア出身です。ボリビアの大学を卒業して、日本の大学院に進むために来日しました。現在は日本の大学で准教授となり、研究や講義などをしています。日本に住んで7年になります。
ジェジェ▶僕はアフリカ東部にあるウガンダという国の出身で、2010年に日本に来ました。日本の大学院を経て、今は世界銀行でコンサルタントの仕事をしています。
──みなさんは、どんなきっかけで日本に来たんですか。
ジェジェ▶来日前はウガンダの教育省で働いていたんですが、日本の大学院の教授が日本で勉強しないかと誘ってくれたんです。アフリカは国際関係上、中国の影響力が強いので、当初日本に対するイメージはほとんどありませんでしたね。
エリック▶僕はもともとどこかの国に留学したいと思っていたんです。ボリビアには、さまざまな国が経済援助をしてくれているのですが、なかでも日本の支援のあり方はすごく合理的だと感じていました。ほかの国は支援先がバラけてしまいがちなのですが、日本の支援は一つひとつの課題にきちんとフォーカスしている印象があって。そんな日本の大学院で勉強をしてみたいと思ったんです。
シン▶私は日本語そのものに興味があって、大学で日本語を専攻していました。中国では、アニメやファッションをきっかけにして日本に興味を持つ人が多いのですが、私の場合は日本のドラマを見て「日本語ってすごくきれいだな」と思い、日本語の勉強にもなるからと、日本の大学院に進学したんです。
──今回は日本に住むみなさんに、「ふだん買い物をする際に感じること」についてお話を聞ければと思います。外国人として日本で生活する上で、とくにどんなことが不便だと感じますか。
エリック▶僕は、日本のお店には基本的にいい印象を持っています。大きな商業施設も多くて、一つの場所に行けばさまざまな種類のお店がある。一方で、日本のオンラインストアは、フレンドリーではないと感じることが多いです。日本のみなさんもネットショッピングをする機会が増えているのと同様に、僕ら日本に住む外国人も、オンラインストアを利用する機会は多いんです。
販売側にとっても重要なチャネルのはずですが、あまり外国人への対応がなされていないように思います。とくにイレギュラーな問題が起こったときの説明がわかりづらいと感じますね。
ジェジェ▶たしかに日本のオンラインストアは、僕たちには少し使いにくいかもしれない。僕も以前、オンラインである商品を買ったのですが、数カ月経っても商品が届かないことがありました。電話で確認してみると、「外国から取り寄せているところで、税関を通るのに時間がかかっている」と言うんです。もしかすると、日本語で注意書きがあったのかもしれません。けれど、オンラインサイト上に書かれている日本語での説明をすみずみまで読んで買わないといけないとなると、僕たち外国人にはハードルが高いと感じます。
シン▶中国企業が運営するオンラインストアには、文章を打ち込んでリアルタイムにやりとりできる「チャット機能」があるところが多いのですが、日本のオンラインストアではまだ少ないのかもしれません。買い物をするとき、些細なことであっても店員さんに相談できると便利ですし、チャット機能の実装は強化できるところだと思います。
また、決済手段も日本のオンラインストアはいちいちクレジットカード情報を一から入力しないといけないケースが多いですよね。中国のオンラインストアでは、「WeChatペイ」などのモバイル決済サービスが普及していて、クレジットカード情報を入力する手間が省けてラクなところも、日本のオンラインストアとの違いとしてありますね。
日本人は親切だけど…買い物で困った際のエピソード
──実店舗についてはどうですか。
シン▶日本の接客は細かい気配りもしてくれて、とてもていねいです。たとえば、日本の飲食店には店員さんの呼び出しボタンがありますが、これも日本ならではの気づかいの一つだと思います。ただ日本には行列ができるお店がたくさんあって、最近ではその行列をつくっているのが外国人だというケースもあります。そうしたお店はだいたい外国人向けのガイドブックに載っているお店ですし、1~2時間待つことも珍しくない ...