総務省の調べによれば、2016年の中国EC電子商取引の市場規模は、前年比40%増で約100兆円(日本円)を突破した。今後も拡大を続けることが予想される中、国内メーカーも、新たな市場機会の獲得に向けて動き出している。ここでは調味料メーカーのカゴメに越境EC参入の背景と狙いを聞いた。

「ワンドゥ」アプリのキャプチャ画像。
品目のうち、ケチャップやソースなどの食品類の販売は6月に初めて開始した。
中国のECの市場規模は実店舗の倍
カゴメが越境ECでの販売を始めたのは2016年11月のことだ。越境ECとは文字どおり、ある国の企業が別の国の消費者向けに国境を越えてネット販売することを指す。カゴメは中国で越境EC事業を手がけるインアゴーラ社とボロミー社の2社と提携し、インアゴーラ運営のECサイト「ワンドゥ」でケチャップ2品、ソース3品、ジュレ2品、飲料2品の計9品を販売している。ボロミー社では飲料2品を扱う。
売り上げは越境ECでの販売開始前の想定通り推移。購入者の7割8割が女性客で、主婦層が中心という。商品はカゴメから食品卸業者を介して前述の越境EC企業に納めている。
カゴメが越境ECに参入したきっかけについて、同社・国際事業本部の山本一成課長は、「国際部門の"生き残り"がテーマでした」と語る。
「2010年から2015年にかけては、中国のほかにタイなどでも、現地生産・販売をしていました。当時、経営状況に明るさが見えない状況で、なかなか製造コストや人件費のやりくりも簡単ではありませんでした。社内からは私が所属する国際部門に、『別の手段で持続的な事業継続方法を探すように』と指示されたことが、越境ECを検討するきっかけとなりました」
越境ECには、「未回収代金が発生するのではないか」といった懸念点が挙がるが、実際はどうなのか ...