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トップの現場力

夢追う社長の背中を見せて、社員に夢を抱かせる

一瀬 邦夫(ペッパーフードサービス)

立ち食いステーキ店「いきなり! ステーキ」は、2013年の1号店オープンからことし5月までに127店鋪に拡大した。その間わずか3年半。2月に出店したニューヨーク1号店は、ステーキの本場ながら、国内店舗を超える好調ぶり。米国では年内に新たに10店鋪を開く計画だという。「ペッパーランチ」「炭焼ステーキ・くに」など、肉料理業態に特化した8ブランドを統べるペッパーフードサービスの一瀬邦夫社長に、成功の原点を聞いた。

ペッパーフードサービス
代表取締役社長 CEO
一瀬 邦夫(いちのせ・くにお)氏

1942年静岡市生まれ。高校卒業と同時にコックの修行に入り、山王ホテルの調理場勤務を経て1970年「キッチンくに」を開業。1994年に低価格ステーキ店「ペッパーランチ」のフランチャイズ展開を開始。1995年、社名を現在のペッパーフードサービスとし、株式会社に組織変更。2013年12月「いきなり! ステーキ」銀座4丁目店開店。その後、米国子会社「Kuni's Corporation」設立や「いきなり! ステーキ」ニューヨーク・イーストビレッジ店を開店し、2017年5月に東証二部へ上場市場変更。現在は国内284店、海外280店(2017年4月末)を展開。

──貴社では現場力をどのように培っていますか。

私のやり方を社員一人ひとりに余すことなく伝えています。1カ月に3回のペースで開催している「いきなり! ステーキ社長道場」では、店長や一般社員に私が指導し、技術と心得を伝授しています。私は洋食の名店で修業し、ホテルのコックとして9年間経験を積んでから独立しました。

そのため現場で学んだノウハウがたくさんあります。ただ単に他社をマネするだけでは、ビジネスはうまくいきません。長年の経験で培ったものの集大成こそ、成長の礎になります。私のやり方を正確にインプットし、クオリティの高いサービスを一貫して提供できるようにするのは、そのためです。

ノウハウを伝える時は必ず理由も伝えます。そうでなければ、言われた側は納得できません。人を動かすには原理原則に基づいて説明する必要があります。最初は、理由を伝えても理解できないかもしれません。しかし実践していれば、社長の言葉の意図に気づく日がやってきます。

さらに自分自身の考え方を社員に伝えるために、積極的にコミュニケーションを取る機会を設けています。社長業は忙しいので、社員とのコミュニケーションがおろそかになりがちですが、そうすると社員も「誰の会社で働いているのか」がわからなくなり、帰属意識が生まれません。人には少なからず帰属意識があり、家庭や国など何らかのコミュニティに属していたいものです。

「誰かの元にいる」という事実が安心を生み、居心地の良さにつながるのです。「いきなり! ステーキ社長道場」も貴重なコミュニケーションの場。こうした場ではできるだけフレンドリーに話し、近い距離感で関係性を深められるように心がけています。

あとは、インプットしたノウハウを実践する場として「いきなり! ステーキ 研修センター店」を運営しています。その名の通り、研修専用の店なので、お客さまには他店舗よりも割安でメニューを提供しています。また「研修店舗につき、不手際はご容赦下さい」というふうに周知しているのですが、むしろお客さまからはご好評いただいています。

研修のための店を設けたのは、店舗の運営をスムーズにするためには、正しい技術とおもてなしの心を学ぶだけでなく、「実践する場」が必要だと考えたからです。店鋪では、オーダーカットや焼き方などの調理技術指導に加えて、サービス指導、クリンリネスや店舗マネジメント業務までを指導します。サービスの質を向上すればするほど、「いきなり! ステーキ」のブランド力アップにもつながります。

当社では、「お客さまご満足の最大化」を基本方針に掲げていますが、そのためには、従業員のスキルアップが欠かせません。店鋪勤務経験がある社員の仕上げ研修の場としても活用しています。

──「いきなり! ステーキ」の特徴はどんなところにありますか。

ご来店のお客さまは、多い店で70%、平均でも50%がリピーターの方々という点です。これだけのリピート率を叩き出している理由は複数ありますが、まずサービスの質の高さが挙げられます。徹底した研修制度をベースに、お客さまに提案できるような接客を心がけています ...

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