
「注文をまちがえる料理店」では、間違えることすら、客の楽しみになっている。店内は「寛容」な空気で満ちている。
イラスト:高田真弓
先日、一風変わったレストランの話題がSNS上で盛り上がった。店の名は「注文をまちがえる料理店」。まるで宮沢賢治の童話のような名前だが、そこのサービススタッフは全員、認知症を抱えたおばあちゃんだという。エプロンをかけた彼女たちが注文を取ったり、料理を運んだり──だが、何をするにも手間取ったり、中には自分がしようとしたことすら忘れる人もいる。
一方、お客はみんな笑顔だ。おばあちゃんがアタフタしても温かい目で見守り、助け船を出そうとする。中には「注文通り出てきて残念!」と謎の感想を漏らす人も。概してとても雰囲気がいい。
実際、店の名前が名前なので、そもそも間違えるのが前提だし、みんなそれを納得づくで来店している。でも、店の雰囲気を伺うに、それだけじゃない気もする。一体、この店で何が起きたのか? ...
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