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トップの現場力

店舗は「舞台」、スタッフは「演者」マニュアルにとらわれない変化対応力

清宮 俊之(力の源ホールディングス)

国内134店舗、海外65店舗(※)を構え、国内外で人気を誇るラーメンブランド「一風堂」。清宮俊之社長のもとでさまざまな革新的な取り組みを導入し、運営する力の源ホールディングスはことし3月、東証マザーズに上場を果たして、大きな注目を集めている。外食業界の枠にとらわれない、イノベーションの数々。その源泉には、1985年の創業から変わらない企業理念があった。

店舗数は2017年3月1日現在

力の源ホールディングス
代表取締役社長 兼 COO
清宮 俊之(きよみや・としゆき)氏

1974年、神奈川生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、カルチュア・コンビニエンス・クラブに入社、15年勤務。2011年、力の源カンパニーに入社。人事、執行役員を務め、入社3年目から現職。Japanese Wonder to the Worldのミッションのもと、力の源グループを牽引中。

──貴社では現場力をどのように捉えていますか。

我々は創業時から変わることなく、「すべては一人のお客様と一杯のラーメンから始まる。」という言葉を大切に掲げています。これは、「いつも目の前のお客さまそのお一人に、最高のラーメンをお出しすることに全力を尽くそう」という意味です。

そのための行動として、笑顔、目線(アイコンタクト)、声のトーン、キビキビ、テキパキ、ハキハキという6つを基本設定しています。それが私たちの現場力だと言えるでしょう。お客さまと接するそれぞれの店舗という「現場」にグループのすべてが宿っていますし、宿らなければいけないと思っています。

店舗は構造こそラーメン屋のつくりですが、「舞台」だと考えています。その舞台での「演者」が店長であり、社員であり、アルバイトであると。「一風堂」という舞台に来ていただいた一人ひとりのお客さまに最大限満足してもらうことを、なにより大事にしています。

舞台装置となる店舗も、同じフォーマットで出店していると思われがちですが、実は国内外で同じデザインの店舗はひとつもありません。一風堂という屋号で統一することでブランドとしての一貫性を感じてもらいつつ、立地特性に合わせて業態や商品の表現方法、運営スタイルを変えています。内装や外装はもちろん、空間全体やサービスに至るまでをトータルでコーディネートすることで、それぞれの店舗を際立つ舞台にするべく磨きあげていくことが、会社としての方針です。

千葉県・舞浜にある「博多 一風堂 イクスピアリ店」。国内外で同じデザインの店舗はひとつもなく、立地特性に合わせて業態や商品の表現方法、運営スタイルなどを変えている。

──店舗ごとで特徴が異なるということで、それぞれの店長の裁量も大きくなるのでしょうか。

現場の判断は常に店長に委ねられますから、権限は大きいですね。海外の店舗となれば、時差の問題もあり、本部でコントロールすることはさらにむずかしくなります。そのため、より幅広い権限を与えられています。海外店舗のストアマネージャーは、経営者に近い仕事とも言えます。

また、我々は直営店の運営のほかに、社内独立を重要視して「暖簾(のれん)分け」という制度にも非常に力を入れています。暖簾分けとは、商標を共有しながら一風堂を独立して経営してもらうというもので、国内の20店舗以上が暖簾分けの店舗です。

各店舗の店主のみなさんは、長年一風堂のスタッフとして経験を積んでから、自ら独立して会社を設立し、自分の会社でスタッフを雇い入れて店舗を運営しています。味や接客、店づくりに対する考えや営業実績などの厳しい審査に合格した方々が一人の経営者として、一風堂というブランドを直営店と共に磨き上げながら、暖簾を守っていこうという、まさに一蓮托生の関係です。

暖簾分けのメンバーで構成する暖簾分け店主会と直営店のメンバーがシンクロするような場を多く設けられるように取り組んでいまして、その一つが地域ごとの勉強会です ...

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