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販促担当者ガイドブック2017

ディレクション成功の第一歩は無理に「言語化」しないこと

出村邦明 × 大川高志

販促ツールの制作を進める上では広告会社とどう関われば良いのか。ここでは伊勢丹新宿本店で今春配布された販促ツール「#食は良いサンカク」の制作に携わった日本デザインセンターの出村邦明デザイナーと、大川高志コピーライターに話を聞いた。

「#食は良いサンカク」のコンセプトは、何気ない会話から生まれた「三角」というキーワード。そこから「食」という漢字も「良いという漢字に三角をのせると『三角』になるよね」という発見から生まれた。話し合った末にこのコンセプトを提案すると、満場一致で即座に決定した。

コンセプトの段階から 発注先を巻き込む

伊勢丹新宿本店の食料品フロアで今春配布された「#食は良いサンカク」は、「食」という漢字が、「良」に三角形を重ねた形であることに着目して制作した販促ツール。紙媒体としては珍しい正三角形の形状が目を惹くこのツールは、蛇腹状に作られており、開くとサンドイッチやチーズなどさまざまな三角形の食料品が紹介されている。

この販促ツール制作を請け負ったのは日本デザインセンターだ。同社は元々、三越伊勢丹の基幹3店(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店)の月刊定期刊行物を制作している。そのため、両社は日ごろから顔を合わせる関係であった。

今回の「#食は良いサンカク」の企画は、三越伊勢丹から日本デザインセンターへ「何か面白いものをつくりたい」と良い意味で漠然とした相談があったことから始まった。

「定期刊行物の制作プロセスと比べると、三越伊勢丹側から企画検討段階で相談を受けるのは珍しいケースでした」と、日本デザインセンターのデザイナー・出村邦明氏は明かす。定期刊行物のテーマは、関連会社でトレンドをリサーチする三越伊勢丹研究所が提示するテーマに基づいて方針を決めている。そのため、日本デザインセンターには、具体的な伝え方を検討する段階で声がかかる場合が多いという。

それに対して、今回の相談を受けて最初に実施したミーティングでは、まだ企画の方向性が決まっていない状態で行われた。「企画の初期段階で話し合いに呼んでいただけたので、方向性が決まっている状態で依頼を受けるとき以上にざっくばらんな打ち合わせをすることができました」と、コピーライターの大川高志氏は話す。

ミーティングでは、いきなり企画を固めるのではなく、互いに率直な考えを話し合った。その中で、定期刊行物は奇をてらわず王道路線で作っている分、今回はあえてその路線から外れても良いのではないかとの大筋が見えたという。「この日のミーティングは、最終的に今回の企画が生まれるための良い呼び水となりました」と出村氏は話す。

「#食は良いサンカク」のコンセプトは、何気ない会話から生まれた「三角」というキーワード。そこから「食」という漢字も「良いという漢字に三角をのせると『三角』になるよね」という発見から生まれた。話し合った末にこのコンセプトを提案すると、満場一致で即座に決定した。

「企画の指針が決まれば、担当者の動きは『いかに社内稟議を通すか』が大事になりますよね。ですから、それをサポートすべく、できる限り早く担当者に社内稟議の武器となるツールや資料を送ろうと努めました」(出村氏)

実際、出村氏はその日のうちに販促ツールのラフイメージを作って先方に送っている。販促担当者からも「社内での提案用に、ラフイメージが欲しい」ということをデザイナーに早めに伝えるべきということになる。

同じ日に、伊勢丹からも社内用の企画書が二人に送られた。その中にも三角形のイメージが明確に示されており、目に見える形で両社が同じ方向に向かって進んでいることが分かる。これ以降、双方が勢いに乗って一気に制作まで進んだという。

制作進捗を確認する伊勢丹社内でも、これまで以上に好意的な反応が見られたそうだ。「担当者から『上司がいつになく良い反応をしてくれている』との報告を受けました。『ツールの形状や紹介方法など、いつもと違うことにもチャレンジしないとね』といった声も上がっていたそうです」(大川氏)

販促担当者だけで抱え込まず 早期に相談してほしい

三越伊勢丹の場合は、シンクタンク機能を持つグループ会社から企画の大筋を請け負う体制になっているため、販促担当側から企画が提示される機会は少ないという ...

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