海外のインフルエンサーなどを使った施策で、訪日外国人客による売り上げを伸ばしてきたパルコ。百貨店のような大量買いを見込めないパルコは、どのような観点でプロモーションを行い、認知度を上げてきたのか。パルコのマーケティング担当である山口豪氏が語る。
店舗とターゲットを絞り、タイと香港の訪日客に焦点
パルコでは、2010年ごろから訪日外国人客に向けてプロモーションを行ってきた。訪日客は増加する一方だが、買い物意欲の向かう先はうつろう。一時期隆盛を極めた時計などの高額商品の大量買いは減り、2016年の百貨店の免税売り上げは2015年の売り上げを割り込んだ。購買が増えたのは比較的安価な化粧品や食料品だ。
では、ファッションを中心に展開するパルコではどうか。「ここ数年の売り上げは前年比150~160%で推移しています」と話すのは、パルコの都心型店舗グループ本部でマーケティングを担当する山口豪氏だ。
「パルコで特徴的なのは、主に訪日リピーターで、ファッションがお好きな方がいらっしゃるということです。当社の中でも訪日客の売り上げが最も大きかった渋谷パルコが、昨年8月から建て替えのために一時休業となったため、昨年の売り上げは前年比130%でした。札幌・池袋・福岡といった店鋪がけん引役となっています」
パルコでは「バオ バオ イッセイ ミヤケ」や「コム デ ギャルソン」といったブランドやマンガ『ONE PIECE』のオフィシャルグッズショップ「麦わらストア」などが人気だ。
この状況を踏まえ、3年ほど前からいくつかの訪日外国人戦略を実施してきた。訪日客に対しプロモーションを強化する店舗と、ターゲットの双方を絞りこむこと。店舗は、渋谷や池袋、札幌など。すでに海外からの来客がある店舗の中でも、訪日客に人気のある商品やショップが揃っているところを選んだ。
メインターゲットは個人の訪日リピーター。売り上げシェアや、ターゲットとなる旅行客が多い国という観点から、最も優先してプロモーションを行う矛先となったのはタイと香港だ。その次が中国と台湾。「ここ2年ほどは中国からの訪日客による売り上げシェアが伸びてきていますが、それでもタイと香港からのお客さまがかなり多いのが、当社の特徴です」
タイへのプロモーションを優先しているのは、パルコに入っているテナントの中に、タイ人に人気の高いショップがあることが理由だ。また、2016年、香港からは全人口730万人のうち、25%にあたる180万人が訪日している。台湾からは全人口2300万人の18%にあたる410万人。そのため、香港、台湾では全人口に向けてプロモーションを行っても、訪日客へリーチしやすい。
一方で、中国は全人口13億人のうち、訪日客はその0.5%である約630万人。数は多いが、やみくもにプロモーションを行ってもリーチ率が低く、効率が悪い。そこで、中国は上海エリアに限定してプロモーションを行うことにした。「上海であれば、人口2500万人のうち、訪日客は100万人以上。全人口の4%が訪日している計算になるため、この程度の割合であれば効果的なプロモーションができるのではないかと考えました」
海外インフルエンサーとタッグ ソーシャルメディアをフル活用
具体的な施策としては、海外のインフルエンサーを使った情報発信、動画を用いたプロモーション、海外の主要施設との相互送客、クーポンの発行などを行っている。
海外のインフルエンサーを使った施策では、実際にインフルエンサーをパルコに招き、ブログをはじめとするソーシャルメディアで体験内容を発信してもらっている。パルコのアンバサダーといった立ち位置で継続的に情報発信してもらえるよう、同じ人を何回か続けて招聘し、かつ一度の訪日でたとえばパルコを2店舗、それぞれ10ショップずつ回ってもらい、帰国してから徐々に発信してもらうようにした ...