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アナログの価値を再提案「チェキ」instaxシリーズの復活劇

富士フイルム

スマートフォンの普及に伴って縮小傾向にあるカメラ市場。そんな中、富士フイルムのインスタントカメラ「チェキ」instaxシリーズが売り上げを伸ばしている。1998年11月の発売から2016年時点で累計2500万台以上を販売。なぜいま、再び人気を集めているのだろうか。

即時プリントが特徴のインスタントカメラ「チェキ」は、1998年に登場して2002年にブームを迎えたものの、デジカメやカメラ付き携帯の普及により一時は衰退。しかし、スマートフォンが普及したいま、世界100カ国以上の国や地域で販売され、その人気が再加熱している。富士フイルムで同商品の企画を担当する山本真郷氏に、「チェキ」のヒットを生んだ戦略について聞いた。

富士フイルム
イメージング事業部
インスタント事業グループマネージャー
山本 真郷 氏

──インスタントカメラ「チェキ」instaxシリーズは、どのような経緯で誕生したのでしょうか。

発売当時は「写ルンです」やプリクラが流行っていて、女子高生を中心に写真を手帳やかばんの中に入れて持ち運ぶ文化がありました。コミュニケーションの一つとして写真を活用していたんですね。そこで、当時の開発陣は「その場で撮影してすぐに現像できるカメラがあったら流行るのでは」と考え、すでに保有していた即時印刷の技術を生かして、持ち運びやすく、コストも抑えられる小型サイズのインスタントカメラ「チェキ」を開発しました。

1998年に「チェキ」の最初のシリーズを発売し、2002年度は100万台にまで販売数が伸び続けましたが、カメラ付き携帯電話とデジカメの影響を受け、2004年度には10万台まで落ち込みます。しかし、「チェキ」にはまだ可能性があると考える社員たちがビジネスを守り続けました。

その後、写真を取り巻く環境はトイカメラやソーシャルメディアの台頭で変化し始め、2009年頃にはネットとかデジタルが普及しきって、誰もが気軽に写真を楽しむようになります。その結果、自分にしか撮れない「味のある写真」で自己表現したいという欲求が生まれ始めます。

こうしたトレンドを手掛かりに、日本を中心にアジアでの販促を開始し、若い女性の間で少しずつ流行り始めたので、2012年から新規の商品企画と販促を本格化させていきました。

次第に「チェキ」を知らない世代の人が興味を持って手に取ることも増え、ソーシャルメディアで拡散されながら、ジワジワと販売数を伸ばしていきました。2016年度には2002年度の第1次ブームの6倍にあたる660万台まで伸び、2017年度は750万台を目標にしています。

──「チェキ」のプロモーションで工夫した点を教えてください。

「チェキ」をライフスタイルの中に取り入れてもらえるように、ユーザーやシーンに応じた使い方などの「コト提案」を始動させました。たとえば、靴箱に貼る整理術や、写真をつるして飾るインテリア活用などの切り口で、「チェキ」のある生活をイメージしてもらえるような企画です。

最初のブームが去った時、「モノ」の切り口で訴求するだけでは一過性のブームで終わってしまうことを学びました。コト提案による"体験"を訴求できれば「チェキ」が毎日の暮らしの中に息づくため、長期的に使っていただけると考えました。

また、これは「消費者の趣味嗜好の変化」に合わせた訴求方法にもなります。たとえば、リーマンショック以降、消費者の意識は「何を所有するか」から「どう生きるか」にシフトしていると言われています ...

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