生活で当たり前の存在になりつつあるEコマース(EC)。これまで実店舗が主戦場だったアパレル企業でもEC時代に合わせた変革が進む。Webでの販売だけでなく、ネットを介して店頭スタッフの発信力を2倍、3倍に高め、来店を促す作用も起きつつあるようだ。ビームスとパルの事例を紹介する。
ソーシャルメディアでヒット品番を生む
ビームスの矢嶋正明氏は1998年、販売員として同社に入社。2005年にファッションECサイト「ZOZOTOWN」への出店に伴いEC部門を立ち上げ、さらに自社運営ECサイトを09年にスタート。昨年、ブランドサイトとECサイトの統合を果たした。
「消費者ニーズが多様化し、変化の激しい環境に企業としてどう対応するか。ECで取り組んだことは4つあります」と対談冒頭で施策を紹介した。
「ひとつめは、店頭とEC双方の購買行動を把握するため、実店舗とECサイトの顧客IDを統合しました。ふたつめは在庫の一元化。実店舗100店舗以上とECも他社プラットホームへの出店を含めて約10サイト、これらの店舗に対して在庫効率を高めるためです。
3つめは情報発信拠点としてのサイトの設計。のちほどご説明します。最後に店頭スタッフや、バイヤーのような人員を重視した取り組みを企業全体として進めています」
一方の、パルグループの敷田有香氏は、50以上のブランドを展開する同グループで、「Kastane(カスタネ)」というレディースアパレルブランドを担当。敷田氏はほかに、後方業務全般およびEC業務全般を担う。
「カスタネ」はEC売り上げも好調で、16年度は前年比150%ほどで推移。ソーシャルメディアの貢献が大きい ...