セールスプロモーション(SP)とブランディング。このふたつは両端のようだが交わるポイントがあり、その交差点こそが人を動かす力になる─。
SP側は日本トイザらスの店頭施策から、ブランディング側は富士フイルムの「50,000人の写真展」を主軸に、SPとブランディングの交差点を探る。
店内イベントきっかけに母親同士をつなげる
登壇したのは、日本トイザらスの立原俊久氏と、富士フイルムの松本考司氏。対談はまずセールスプロモーション側の視点として、立原氏が手がける施策からスタートした。
立原氏は店頭販促の担当で、店内イベントや装飾物全般に携わる。日本トイザらスの店鋪数は全国160店鋪。
実店舗ならではと言えるのは、毎月1回必ず実施するバースデーイベントだ。「ハーフ(6カ月め)」「1歳」「2歳以上」の3パターンがある。
とくに「ハーフ」は、母親同士の会話のきっかけとなり、実店舗の強みを生かしている。
「出産から半年間、外出できず、同じ年代の子を持つ母親と話す機会の少なかったお母さん同士で自然発生的に会話が生まれます。イベントは30分ほどですが、1時間くらい話し込まれることも珍しくありません」(立原氏)
こうしたイベントなど、店鋪からの話題の発信には、店内を撮影OKにしていることも寄与する。
「写真を撮りたくなるしかけを随所に用意しています。ロボットと恐竜のオブジェ、実際に乗れるトラック、著名ボードゲームをモチーフにしたフロアシートなどなど。こうした装飾の写真がソーシャルメディアなどで広まり、多くの方に『トイザらスに行けば楽しい仕掛けがある』と感じていただく機会になっている」(立原氏)
立原氏の話からは、「遠くのレジャー施設よりも、近くのトイザらスに足を運んでいただきたいという思いがある」との言葉も出た。玩具店の競合は、テーマパークのようなエンターテインメント施設まで広がっていることが伺えるフレーズだ。
SPとブランディング その交差点にあるものは
一方、ブランディングの視座として、富士フイルムの松本考司氏は2006年から開催している写真展「"PHOTO IS"想いをつなぐ。50,000人の写真展」を取り上げた。応募写真をすべて展示するのが特徴で、当初の名称は「10,000人の写真展」だった。次第に展示希望者が増え、いまでは5万人規模。観覧者も増加しており ...