
旅行中の写真をあえて「写ルンです」のみにすることで、"特別な一枚"が生まれる。記録よりも記憶に残る一枚に。
イラスト:高田真弓
富士フイルムのレンズ付きフィルム「写ルンです」がブームである。2012年に最盛期の20分の1まで販売数が落ち込むも、一昨年の夏ごろから人気が再燃。この2年で売り上げが5倍に増えた直営店の例も。ブームの中心にいるのは10代から20代の若い女性という。
それにしても、今やスマホのカメラの画素数は1000万を超え、もはやデジカメと遜色ない。そんな時代に、なぜ「写ルンです」なのか。
鍵は、ブームの中心にいるのが10代から20代の若い女性である点。つまり──デジタルネイティブ世代だ。彼女たちにとって「写真を撮る」行為は、もはや日常の記録でしかない。友人と一緒に、スイーツの一皿、街の風景──etc。毎日、何かを写しては、インスタグラムに上げる。もはや日記と同じだ。上の世代と比べて、圧倒的に写真を撮る量が多い。
しかし、それゆえ彼女たちは写真に対して"特別な1枚"という感覚が薄れてしまった ...
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