トッパンフォームズは3月6日~10日にかけ、「DM week 2017」を開催した。5回めとなる今年のコンセプトは「0秒コミュニケーション」だ。7日には、顧客の直感に働きかけ、心を動かすコミュニケーション事例についてセミナーを実施。会期中はショールーム「CONNECT GATE」で展示も実施した。

トッパンフォームズ企画本部の宇井剛史氏。

セミナー会場の様子。4日間で計450人が来場した。
いかにして直感に働きかけるか
悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しい─。セミナー第1部前半では、「無意識にその気にさせるメカニズム」をテーマに、消費者の消費行動やインサイトについて早稲田大学理工学術院・渡邊克巳教授が講演した。
消費者の購買行動について渡邊氏は、「人間は意識している・していないにかかわらず、感じたことが行動につながります。そのため消費者の直感(脳)に働きかけることが重要」と指摘した。
同部後半に登壇したのは、トッパンフォームズ企画本部の宇井剛史氏だ。「今回のテーマである『0秒コミュニケーション』のキーワードは、瞬間・直感・自分ごと化の3つです。直感的に『興味が ある』と1秒程度で思ってもらうことが肝要です。自分で意識していることと、脳が感じていることは同一とは限らないため、感性を測定してコミュニケーションの精度を高めることが重要だと考えています」(宇井氏)。
来店の前後も分析
第2部では、人工知能(AI)事業を手がけるABEJA(アベジャ)でSaaS ソリューション事業部の責任者を務める一ノ宮佑貴氏が登壇した。
AIは実店舗の分析にも期待が寄せられる。従来のPOSデータでは販売数、つまり、わかるのは「結果」のみ。各店舗の良し悪しは売り上げのみで判断するほかなかった。しかし、「AIでもとりわけディープラーニング(深層学習)の手法を用いることで、店舗の前を通る人数や、そのうち入店した人数、店内で最も見られている棚や商品なども割り出せます」と一ノ宮氏は話す。
さらに、入店の前後や店内での動線を分析すれば、改善点を明確にできるという。「ある自動車販売のディーラーでは車両展示のレイアウトを1週間ごとに変更しました。各レイアウトの来店客の動きや反応を分析し、車両の最適な見せ方を割り出した結果、そのディーラーでは実際に販売台数が数%伸びました」
最後に一ノ宮氏は、「積極的にAIを活用して課題解決を進めていくべきですが、『AIならなんとかしてくれる』というスタンスではなく、まずは自分たちの課題を明確にすることと、運用する体制を築くことが重要」と締めくくった。

第2部に登壇したABEJAの一ノ宮佑貴氏。
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