4月にオンラインストアをリニューアルオープンした、ユナイテッドアローズ。Eコマース売上高は年々好調に伸び、全体をけん引する存在に。EC比率も成長を続けている。刷新に込めた意図と、これからリアル店舗やスタッフとの相乗効果をどのように高めていくか。デジタルマーケティング部の木下高博部長に聞いた。

ユナイテッドアローズが4月5日、リニューアルオープンした「UNITED ARROWS LTD. ONLINE STORE(ユナイテッドアローズ オンラインストア)」。Eコマース機能とブランドWebサイトを統合した。
購買導線・検索・決済・配送 リニューアルの強化ポイント
セレクトショップ大手のユナイテッドアローズは4月5日、直営のオンラインストアとブランドWebサイトを統合し、「UNITED ARROWS LTD. ONLINE STORE(ユナイテッドアローズ オンラインストア)」をリニューアルオープンした。
ブランドWebサイトは、「UNITED ARROWS」をはじめ「BEAUTY&YOUTH」や「green label relaxing」といったユナイテッドアローズで展開する各ストアブランドの、主にリアル店舗にまつわる情報を掲載していたもの。
ユナイテッドアローズではリアル店舗とEコマースを区別せず、状況に合わせてこだわりなく活用する消費者が増えていると見て、ブランドWebサイトのような情報を得るサイトと、販売チャネルの両方の性質を備えた、「メディアコマースサイト」の発展につなげる。
強化したのは主に「コンテンツからの購買導線」「検索機能」「決済の選択肢の拡大」「配送スピードの向上」の4つの領域だ。
コンテンツ面は、各ストアブランドの特集や、スタッフによる商品のおすすめといった旧ブランドWebサイトの人気コンテンツをそのままに、さらに写真共有サービス「Instagram(インスタグラム)」など各ソーシャルメディアの公式アカウントから発信する情報を集約した、「ブランド別ソーシャルウォール」を新設。オンラインストアで扱う商品をソーシャルメディアで紹介した場合は、「ソーシャルウォール」を介してすぐ購入できるようにした。
検索機能では、フリーワード入力でも、オンラインストア内で展開する全ストアブランド商品群から、合致するブランドや商品カテゴリー、商品の候補を表示するようにした。決済手段は、従来のクレジット決済と代金引換に加え、NTTドコモ利用者は携帯電話料金と一緒に支払える「dケータイ払いプラス」を導入した。クレジットカード非利用者でも、代引き手数料がかからずに支払えるようになり、利用機会が増す見込み。
オンラインストアのリニューアルは、ユナイテッドアローズがリアル店舗と等しい買い物環境やサービスを、ネット上でも提供することを目的に、2016年から推進する取り組みの一環。同年8月には、ハウスカードのポイントカードの仕組みを改編し、リアル店舗とオンラインストア共通とした。スマートフォン向けのオンラインストアアプリがそのまま会員証として使える。店頭では画面に表示したバーコードを読み取る。
ユナイテッドアローズの2017年2月発表の、16年4月~12月の第3四半期までのUA単体累計売上高では、ネット通販は141億1000万円。売上高構成比は14.8%で、前年同期から3ポイント伸長している。
ネット通販の伸びが高い理由は、春物商品の好調さと、シーズン端境期に出す、春色・冬素材のいわゆる「梅春商品」のセールを行い、在庫をネット通販店舗に集約したこと。割引クーポンなどの施策も寄与した。

2016年8月にはポイントカードを改編し、リアル店舗とオンラインストア共通とした。

スタッフからのおすすめも強化。商品紹介だけでなく、取り扱いのある商品は、同じページから最新の在庫状況を確認したり、そのままオンラインストアで購入したりできる。おすすめするスタッフは今後広げる考え。
スタッフが、得意分野を発揮できる環境を整えたい
─ユナイテッドアローズにとって、オンラインストアはどんな位置づけですか
木下貴博氏 チャネル間の垣根をどう取り払うか、リアル店舗であろうとオンラインストアであろうと、どこを訪ねてもUAであれば同じ体験ができる、というのが理想です。
当社が売り場としてのオンラインストアに着手したのは、2009年ごろ。8年近く経ちましたが、お客さまは、売り手である私たちが考えている以上に、TPOに合わせてチャネルを使い分けていることがわかりました ...