世界90カ国以上で展開するフランスの化粧品ブランド、ロクシタンは昨年9月、東京・新宿の路面店に体験型デジタルシアターを設置した。自然派商品の魅力をデジタル表現で演出、視覚や嗅覚など、来店客の五感に向けてブランドの魅力を訴えかけている。
嗅覚や味覚にも訴え ブランド訴求
ロクシタンジャポンが運営する「ヴォヤージュ・アン・プロヴァンス」(東京・新宿)は、同社最大のフロア面積(5フロア約250坪)を持つ旗艦店だ。「ビルまるごとで、プロヴァンスを旅する」とうたい、ブランドの原点である南仏プロヴァンス地方の魅力を1階~4階で体感できる。
店に入るとまず目につくのが、エントランス付近に設置した縦型のデジタルサイネージ。正面に立つと商品由来の植物の映像が広がり、同時にその香りを噴霧するしかけ。「ヴァーベナ」「ピオニー」「ローズ」を用意し、それぞれの草花を視覚、嗅覚で感じられるようにした。人気の撮影スポットにもなっている。
店内には、天板がディスプレイになったテーブルが設置されている。商品を置くと、原材料となる植物のイメージを美しく表示したり、商品の使い方を順序を追って紹介。情感と機能を同時に伝える。
店頭演出に力を注ぐ背景について、ロクシタンジャポンのデジタルマーケティング部の安倍もと子氏は、「商品やブランドについて知り、そのよさを体感する機会として、実店舗は絶好の場所」と語る。
「ロクシタンの商品は、見た目や言葉だけでは伝えきれない部分が多い。店頭こそ、嗅覚や味覚、触覚、聴覚といったほかの感覚にも訴えかけられます。購入というゴールにたどりつくためにはまず商品のストーリーを知っていただくことが欠かせません。商品を五感で体験いただくのはとても有意義なことだと考えています」
以前はギャラリーだった4階には、"体験型デジタル空間"と銘打った、「デジタル プロヴァンス シアター」を開設した。2月10日~3月31日の期間は、フレグランス商品「チェリーブロッサム」シリーズの発売10周年を記念したコンテンツを用意した。
安倍シニアマネージャーは、「デジタルプロヴァンスの導入で、接客の強化にもつながった」と語る。
「デジタルツールの導入で、お客さまとの会話が生まれるきっかけになりました」
言葉では表現がむずかしい ...