買い物行動をデータで捉え、個々の消費者理解を深める
国内市場に大幅な成長が期待できないこれからの時代、大半のメーカーにとっては、従来からの売り上げ・シェア競争に加え、優良顧客の獲得競争が大きな課題となっている。そのためにどのようにデータを駆使するべきか。博報堂 博報堂買物研究所の前嶋誠一郎氏が解説する。
デジタル販促 瞬間を捉えて売上増
目まぐるしく変化するモバイル業界。スマホの所有率は70.7%を超え(博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所調べ、東京地区)、生活に欠かせないものとなっている。ここでは多様化する決済手段の時流をとらえていく。
アップルの非接触決済サービス「Apple Pay」が日本上陸して1カ月超が経過した。サービス開始の10月25日には、JR東日本の「モバイルSuica」に6万3000件の新規登録があった。当日は早朝からサービスが開始されたものの、多くのユーザーが殺到したため、サーバーがパンクし、受付できない状態が長く続いた。JR東日本では「通常の10倍のアクセスが殺到したため、システム障害が起こった」という。
それだけ、iPhoneユーザーが待ち焦がれていたのが、「日本でおサイフケータイのように使えるiPhone」だったというわけだ。
これまで、アップルは統一仕様のiPhoneを世界的に流通させるというやり方を貫いてきた。携帯電話の電波については、中国やアメリカなど一部地域で独自の仕様のiPhoneが投入されたことはあったが、いずれも大国であり、アップルが重視する国だからこそ、特別対応していたと言えた。
日本のケータイやスマホは、おサイフケータイや防水性能、ワンセグといった機能を付加してきたこともあり、世界のトレンドとは異なる独自の進化をした、「ガラパゴス」と揶揄されてきた。これまでの常識では、まさかアップルが「ガラケー」的なものを載せるわけがないと思われてきたのだ。
しかし、一方で、アップルはiPhoneを進化させるために「Apple Pay」という非接触決済サービスを米国や英国などで展開してきた。それらは日本の仕様とは異なり、NFCという世界的に普及されると期待される仕様を搭載して …