販促予算の投資先の比重は 新規 > 既存という結果に
販促会議編集部では読者を対象にアンケートを実施。今月の特集企画「販促予算」について、その使い道や現状を探った。各社ソーシャルメディア広告などのWebプロモーションに注目しているようだ。
販促予算 「何に」「いくら」「どう使う」
POSデータの使い方を押さえておけば、販売数量を予測でき、効率的な予算配分が可能になる。ここでは、POSデータ活用した「ABC売上分析」など、最低限押さえておくべき基本を学ぶ。
販売促進を企画する時、POS データは心強い味方である。例えば、販売促進の費用対効果が大きい商品を探す時や、その商品が売れる販売数量を予測する時に役立つのである。限られた販促予算を有効に活用するため、POSデータの使い方をしっかり理解しよう。
さて、まずはPOSデータの基本的な知識について触れていこう。POSとは、「Point Of Sales」の頭文字を取った略称であり、日本語で“販売時点”という意味だ。そしてPOSデータは、「いつ、どのお店で、どの商品が、何個、何円で売れた」というレジ処理の記録について、商品別に集計したものである。
また、POSデータの集計期間は、月次単位・週次単位・日次単位があり、目的に応じて使い分けられているのである。
次に、POSデータの主な項目は「JANコード、商品名、販売数量、売上、平均売価」である。この5つのデータ項目によって、よく売れる主力商品やあまり売れていない商品を把握することができる。なお、お店によっては粗利額がPOSデータに含まれていることもあり、その場合は儲けの多い利益商材を把握することができる。
このPOSデータについて大切な視点は、“POSデータは、過去の事実”だという点である。販売促進を企画する時は、曖昧な記憶による予測や根拠のない希望的観測に頼ってしまうと良い成果を期待しづらくなる。仮に良い成果になったとしても、「たまたま上手くいったけど、成功要因は明確ではない」ということになるのだ。これでは、企画が成功につながったポイントがわからず、次の販売促進に活かしていくことができない。
しかし、POSデータを使うことで、客観的な事実に基づいた、堅実な企画が立案でき、成果をしっかり検証して次の企画に活かせるメリットがある。具体的には、(1)販売促進の結果、大きな費用対効果を見込める商品を探せる、(2)販売促進を仕掛けた商品の売れ行きを推測できる、(3)販売促進の成果を数値で評価できる、という3点がメリットを生み出すのである。
ここからは基本の締めくくりとして、POSデータ分析について説明しよう。POSデータ分析には多くの手法があるが、まずは最も重要なABC売上分析を理解することが大切である。
このABC売上分析のメリットは、売り上げと集客に貢献している主力商品を把握できることだ。ABC売上分析のA、B、Cは、売上の重要度であり、Aランクが最も高くてCランクが最も低い。(詳細は後述するが、Aランク商品は売上全体70%を占める。)そして、各ランクのアイテム数は、Cランクが最も多くてAランクが最も少ないのが特徴だ。
つまり、ABC売上分析で主力商品を把握できるとは、最も少ないアイテム数で最も大きな売上をつくるAランク商品が把握できるという意味なのだ。大きな売上をつくる商品ということは、それだけ購入したお客様が多いのである。もちろん、その商品を欲しいと思った全員が購入するわけがないので、「購入したお客様の人数以上に、潜在的な見込み客がいる商品」であり、集客効果が期待できるのである。
一方、BランクやCランクの商品は、品揃えアイテムの傾向が強く、利益商材も多い。特にBランク商品は「そこそこ売れている」ため、販売促進を仕掛ければAランクに成長し、売上と利益の両方に貢献できる可能性があることは覚えておこう。
ちなみに、ABC売上分析では売上数値を使っているが、利益や販売数量の数値を使ってABC分析を行うことがある。ABC利益分析は、利益全体の70%を構成している商品を把握することができる。
また、ABC数量分析は、販売数量の多い商品、すなわち集客力のある商品の把握に役立つ。
ABC売上分析のやり方を紹介する前に、データ分析の手順について説明しなければならない。具体的な手順は、(1)データ分析の目的を明確にする、(2)データの収集と整備、(3)データ分析作業、(4)分析結果に基づく対策、(5)検証、この5ステップで進めていく。この手順を無視して、やみくもにデータ分析の作業に取り掛かると膨大にムダな時間が発生してしまうので ...